野球のルールを知らない審判

少年野球
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我が子が小学1年生の時に野球チームに入った時、コーチは監督含めいつも7-8人は出ていたと思う。
今考えれば当時の監督の圧力で出席率が高かったのだろうか。
その監督が辞め、温厚な監督に変わったくらいから明らかにコーチが少なくなっていった。
基本的に練習は土日だが「仕事があるんで・・・」とみんな右へならえ的に言い訳をする。
サービス業でもないのにそんなに都合よく土日に仕事が入るのか。

自分で言ってしまうが、おれはそんな中で監督を除けば誰よりも出席率が高かったと思う。
コーチでもないのになんでおれがそんなに出なければならないのか。
一つには監督になるべく協力したいと思っていたからだ。
実際大人はおれと監督だけ、という日も少なくなかった。
土日と祝日、毎回お弁当を持って朝から夕方まで練習に付き合った。
真夏は日陰でお弁当を食べ、冬場は寒風吹きすさぶ中でお弁当を食べるというのはなかなかつらいものがあるが、子供たちもそうしているのだ。

年度が変わり、この温厚監督が引退し新たな監督体制がスタートした。
新監督ともう一人が助監督になった。
チームから子どもたちも4名ほど抜けてしまったのでますます弱小チームになってしまった。
ここは一致団結して乗り切らなければ。
新監督と助監督の体制になってからもおれはなるべく練習に出るようにしてた。

・新監督・・・子供の頃に少年野球やってた
・助監督・・・未経験
・コーチA・・・未経験だが独学で別チームでの監督経験あり。年配(に見える)
・コーチB・・・現役社会人野球やってるが、めったに練習に参加しない
・コーチC・・・中学だか高校だかで野球をやっていたらしいが気が向いた時しか練習に来ない
・コーチD・・・未経験
・コーチE・・・急遽助っ人で入ってくれた経験者。審判部にも所属している
・おれ・・・もちろん未経験

新監督と助監督はたいてい交代で練習に来ていた。
コーチB、Cはたまにしか来なかった。
なので練習に参加する大人はいつも4-5人しかいなかった。
どちらにしても子供たちに技術指導なんかできる環境ではない。
さらに困るのは試合の時だ。
大抵各チームから2名、審判を出さなければならない。
助っ人で来てくれていたコーチEはそもそも審判部の人なので主審をやってくれたがもう一人必要だ。
監督と助監督は子供たちに指示を与える立場なので基本ベンチ。
コーチBとCはほとんど来ないしたまにいても、監督たちと一緒にベンチから指示を出す側に回ってしまう。
コーチAは「こういうのはもう新しい人がどんどんやってって覚えてもらわないとさ」などと言って自分はやらなかった。
すると残るはおれともう一人、コーチDしかいない。
仕方ないのでおれともう一人で交代でやっていたが、そもそも細かいルールを知らないのと、実は審判は結構動きが必要で、こういう場合はベースを離れてここまでボールを追いかけるとか、その時3塁の塁審はこっちに移動する、などややこしいフォーメーションがあるのだ。
そういうことを全く知らないまま、「○○さん、三塁に入って」「一塁の塁審お願いします」などと指名され始めた。

「いや、細かいルール知りませんから」
「いいのいいの。やってるうちに覚えるから」
「ホントにどうなっても知りませんよ」

実際おれの判定は誤審だらけだった。
牽制球はタッチしなければアウトにならないらしいが、タッチしてなくてもアウトにしてしまったり、その逆にタッチしなくてもいい場面でタッチをしなかったからセーフにしたり。
走りこんできたときセーフかアウトかなんて、判断できるわけがない。
何もしないコーチAは
「WEBにたくさん出てるからそういうの見て覚えるといいよ」
と言っていたが、なんで自分の時間を使って仕事でもない野球の審判の勉強しなきゃならないんだ。
しかし自分が困るのでWEBを見ると確かにいろいろ出てきた。
が、ただでさえ拒絶感があるのでまるで頭に入っていかない。
そしてある時、公式戦が行われた。

つづく

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