少年野球コーチデビュー?

少年野球
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「今度の土曜日、どうしてもコーチが足りないのでお父さん方、お手伝いいただけませんか」
息子の少年野球チームの監督からメールが来た。
「絶対行きなさいよね!」と鬼嫁が言う。
おれは「球拾いしかできませんがそれでも良ければお手伝いします。キャッチボールもできませんよ」とメールで返した。
「ありがとうございます。十分です。テニスラケットも持ってきてください。ボールはこちらで用意します」と返事が来た。
ラケット?シャレで言ってんのだろうか。

当日、手伝いに来ていたお父さんはおれ一人だった。
どーゆーことだ。みんながみんな土曜日仕事ってことはないだろ。
なんだろうこの非協力的な姿勢は。
おれは言われた通りにラケットを持参した。
この日はジュニアのコーチが一人で、今日のおれの任務は、軟式ボールを怖がる2年生ぼうずたちにテニスボールをラケットで球出ししてやることだった。
なんだそんなことでいいんだ。
子どもたちも普段と違ったメニューだからか、大喜びだった。
「コーチぃ!もう一回お願いします!」
かわいいもんだ・・・っておれコーチじゃないから。

後半、コーチが子供たちに「次は何やりたい?」と尋ねると、
「紅白戦やりたいです!」
「おれも!」
「紅白戦!!」
「おれファースト!」
まてよ、野球の試合って9人だよな。
今いる人数だと・・・足りないじゃん。
ということは・・・
「すいません、そっちのチームに入ってもらえますか」
来たよ!冗談じゃない!
「いや、無理です。キャッチボールもできないんだから。ルールも知らないし」
「大丈夫ですよ、2年生ですから。お遊びみたいなものですから」
おれは強制的にチームに組み入れられてしまった。
これはマズい。自慢じゃないがゴロもフライも捕る自信が無い。おそらくここにいる2年生坊主の中で野球をやらせたら一番下手なはずだ。しかしおれが拒否しつずければ紅白戦はできない。そんなおとなげないこともできないだろう。
おれはド緊張のままグラウンドに入った。
回りは全部2年生という状況で何を緊張する必要があるんだ。
「球がこっちに飛んでこないように」と祈っていたらいきなりフライが飛んできた。
「来た!!!」
ボールは一度グローブの中に入ったが、あっけなくこぼれ落ちた。
おれはすぐにボールを拾ったが、頭の中は真っ白だ。
このボール、どうすりゃいい?
おれは意味もなくバックフォームへ投げた。
「コーチぃ!どこ投げてんですか!」と誰かが叫んだ。
おれは見当違いな送球をしたようだった。
さっきテニスボールであれだけ「球よく見ろ!」「足動かせ!」とかコーチぶっていたのにこんな簡単なフライが取れないんじゃ、子供たちの信頼が一気に無くなる。
「自分だって全然ダメじゃん」
そんなふうに思われたくない、たとえ相手が2年生でも。

びくびくしてると再びフライが飛んできた。
おれは無我夢中でボールを追いかけ、そして手を伸ばした。
そして今度は見事キャッチした!
が、おそらくそのフォームは緊張でとても固く、全然イケてなかったことだろう。

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