龍を見た人⑦~貴船神社

パワースポット

鞍馬寺の本殿からサナトクマラが祀られてるという魔王殿までは徒歩30分くらいと書いてあった。
貴船神社の手前あたりにあるようだ。
鞍馬駅から本殿までの山道は比較的整備されて歩きやすかったが、本殿から貴船へ向かう道は一転して様相が変わった。
木の根がところどころせり出していたり、石段があっても段差がバラバラだったりでものすごく歩きにくい。ちょっとした登山のようで、雨なんか降っていたら泣きたくなるような山道だ。

途中に木の根がくねくねとうねっている場所があった。
「エネルギーが高いとこうなる」という説と「地面が固いとこうなる」という説がある。

基本的には山を降りていく行程だがとにかく歩きにくい。
もし逆に貴船神社から登ってきて鞍馬寺を目指すのならかなり苦労するだろう。
そしてようやく魔王殿にたどり着いた。


と言っても何か特別な建築物なわけでもない。
まして鞍馬寺の本殿の地下にサナトクマラの像を見ているので、いまさら「ここでは魔王殿はサナトクマラを祀っています」と言われても「さっき見ちゃったしなぁ」と思うとなかなかピンとこない。
そして魔王殿を過ぎるとすぐに貴船神社ももうすぐだ。

貴船川のせせらぎの音が聞こえてきた。
そして下山するとすぐに貴船神社の入り口があった。

時間が10時を回っていたこともあり、混んでるほどではないにしても、それなりに人がいた。
しかし貴船神社は想像していたよりもはるかにこじんまりとしていた。
「龍神様がいる神社です」
「鞍馬寺とは質の違う優しいエネルギーを感じてください」
などと言われても期待が大きかった分「はいそうですか」となどとはなれない。
「優しいエネルギー」と言われても、鞍馬寺で宇宙エネルギーを全然感じられなかった人間に貴船神社のエネルギーなど分かるはずがない。
なので貴船神社はあっという間に終わってしまった。


時計はまだ11時。
さあこれからどうしよう・・・
予定では午前中いっぱいが鞍馬山、そして午後から貴船神社のはずだった。
そして午後3時過ぎ、あるいは4時ごろに奈良へ移動するつもりだった。
「とりあえず京都駅まで戻ろう」

来た時と同じ経路で京都駅まで戻った。
そして駅地下のレストラン街で京都名物だという「おばんざい」を食べながら考えた。
美味しかったが「おばんざい」の意味は分からない。


京都内でほかのところへ行ってみようか・・・
しかしどこへ・・・
そういえばバスの中から東本願寺とか見えたな。あれもなかなか強そうだったな・・・
清水寺とか金閣寺とか比叡山も有名だが・・・
いやいやいや。
今回わざわざここまで来たのは「龍」を見るためで、それが叶わないまでも「パワースポット」であってほしい。別に観光旅行に来たわけではない。単なる観光地へ行くのでは意味が無いのだ。

「このまま奈良へ行ってしまおう」
本来の明日の行動予定では、午前中は春日大社で原始林に触れ、そして新薬師寺、最後に東大寺に行こうと思っていた。
「龍」も「パワースポット」も関係ない観光地そのものだが、東大寺と新薬師寺にはちょっとした思い入れがあったからいいのだ。
東大寺の巨大仁王像と戒壇院の四天王像は中学3年生だった頃のおれに大きなインパクトを与えた。
それをもう一度見てみたい。新薬師寺の十二神将をもう一度見てみたい。
「そうだ、今から奈良へ行こう」

つづく

コメント

  1. キラ より:

    鳥居の中に確かに龍神様が見えますよ。確かに居ますね。凄いです。

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