猫背矯正と肩甲骨 後編

アンチエイジング

翌週から早速私はその接骨院に通いだした。その接骨院は客が来るたびに
「○○さんこんにちはー!!」
帰るときは
「〇〇さんおかえりでーぇす!」
とスタッフ全員で絶叫するちょっと暑苦しい体育会系接骨院だった。
「じゃ、今日から猫背矯正やっていきましょうねっ!」

内容はストレッチポールの上で首を左右に倒していくのだが、これがなかなかしんどい。首に圧力をかけてぐいぐい押していく。
「大丈夫ですかー!」
こっちは少しでも効果を上げたいから「まあ・・・なんとか大丈夫です・・・」くらいしか言えない。
そのあと両手をぐるぐる回し、上から肩をぐっと押して、肩甲骨はがしみたいに肩甲骨をぐりぐりやって終了。
「いやー硬いですねー!」
「よく言われるんです(だから来てるんですけど・・・)」
「はいっ、今日はこれで終わりです!」
「え?」
時間にして15分もたっていないんじゃないだろうか。この前初めて来たときは40分以上かけて念入りにやっていたのに、あれは何だったのだ。
毎回同じことをやってくれると勝手に思い込んでた私が浅はかだったのだろうか。
その後も1回15分の施術を毎週欠かさず受け続けていた。
「まあ目的は猫背矯正と肩回りの柔軟性の回復だから、それが達成できるなら時間の長い短いは関係ない」と自分を納得させた。

毎週1回、夕方に通うようになって12回目。
「ちょうど半分なので、状態をチェックしましょう」
施術前にまた写真を撮り
「今こんな状態です。ほら、頭が前に出ちゃってるでしょ?肩甲骨の開きは・・・今は指4本ぐらい入りますね。これが2本くらいになるのが理想です」
そして施術の後また写真を撮り、
「ほら、頭の線と腰の線が一直線になったでしょ。これが戻らないように頑張りましょうね」
そんな施術者の営業トークと裏腹に、私の中の満足度はどんどん落ちていった。よく考えてみればbefor、afterの写真だって、準備体操もしてない状態と一応施術後の写真が違うのは当たり前だ。

秋が過ぎ、やがて冬にさしかかった。それにしても毎回毎回「いやぁ硬いですね!」と言われ、それにも辟易していた。
最初のうちは適当に合わせていたがだんだん反応するのも面倒になっていた。このころは何回かごとに「チェックしましょう」と言って肩甲骨のあたりに指を添えては
「大体4本くらいですね。理想は・・・」と繰り返され、私の気持ちとしては「全然効果ないじゃん」と、ほぼ信頼度がゼロになっていた。
いつも客はそれなりに入っているようで、こんなんでみんな満足してるのだろうかと不思議だったが、他の客たちはどうも施術者たちとの会話をただ単に楽しんでいるようだった。

「回数券はあと3回ですね。もうあと12回くらい続けていくとかなり良くなると思いますね」
って、いまだに全然効果が出てないのに何をもって「あと12回」とか言ってるんだろう。
「まあ、回数券でなくても治療としてでも続けられたほうがいいですよ」
もちろん続ける気などない。ある日、帰り際に
「今皆さんに体験者の声、を書いてもらっているんですが」
とアンケート用紙を渡された。それをSNSとかチラシなどの宣伝に使いたいのだろう。
「いやぁ、効果も出てないのにいいこと書いたらウソになっちゃうからいいです」
と私にしては珍しくはっきり言ってしまった。

年を越し、最後の1回になった。
「指は大体・・・4.5本ですかね」
前よりひどくなってるじゃん。しかしもうこの「指が何本・・・」というジャッジの仕方も私は信用してなかった。施術者によっても全然違うからだ。
「まあ、猫背は将来的にヘルニアの原因になったりするんで続けられたほうがいいんですがね。ヘルニアなんかなったら大変ですからね。私の知り合いにもヘルニアで苦しんでる人いましてね」この期に及んでまだ営業する気だ。
「いや、24回やって効果が出てないんでもういいです」
「そうですか。また何か不調が出たらいつでもそうぞ」
不調が出てもここには来ないよな。

半年かけた接骨院での肩甲骨柔軟性復活計画は全く効果のないまま時間とコストだけかかり終わってしまった。
※さらに時間が経って気づいたのだが、私の首の可動域は明らかに狭くなったように感じる・・・。

猫背矯正と肩甲骨 前編

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