鬱になる前に

社畜日記

私の姪が昨年、地元に本社のあるサンドイッチ屋に就職した。

研修期間は駅前の店舗で売り子をやっていたが、そもそもぬぼーっとしたやつなので、こいつに接客など出来るはずがないと思っていた。
工場ばかりではなく店舗でもサンドイッチを作るというが、こいつは料理など一切できなかったはずだ。
包丁さえ握ったことのないやつがサンドイッチとはいえ売り物など作れるはずがない。

しかし予想に反し、少なくとも接客業は意外と向いていたらしくその後一年半経つ中で接客のスキルで表彰されたりもしていたそうだ。

しかし問題はその会社の経営スタイルにあった。
大手百貨店をはじめ都内数箇所に店舗を持つこの会社に労働基準法は存在していなかった。
少数精鋭と言えば聞こえはいいが、要は人件費を減らして残った社員の拘束時間を増やす。
もちろんサービス残業、サービス出勤だ。

朝4時に出て行って帰ってくるのは夜の11時、12時とかで、不定期の休みはとにかく睡眠不足を補うために寝だめするしかなく、ほとんど休み無しの状態らしい。

そんな状態が1年半続いた。

姪は別に将来サンドイッチ屋として独立したいわけでもなく、修行と言うにはかなり過酷だ。
大丈夫だろうか・・・。

何度か辞めようとも思ったらしいが、就職難を理由にあきらめてきたらしい。
新人の身ながら、上司に労働環境改善をかけあったこともあったがもちろん聞き入られるはずもなかった。

そんなある日、私がたまたま実家に帰ると、全身から疲労オーラを放っている姪がいた。
母の話では「仕事から帰ってくると、あたしの肩や腕を触りたがるの。触れていたいんだって」という。
これはもう危ないなと思った。
うつが始まっているんじゃないだろうか。
「夜、起きてしまうとか言ってなかったかな。起きたらそのまま眠れなかったり、わけもなく涙が止まらないとか」
「だって4時間くらいしか寝る時間がないんだから起きたと思ったらもう行く時間よ」

直接本人に聞いてみた。
「いつも、あっもう時間だ、行かなくちゃって夢で起きる」

うつで怖いのは自殺に簡単に走ってしまうことだろう。
死ぬために働いているわけじゃないんだ、おれは一刻も早く辞めることを勧めた。
さすがに本人もそのつもりでいたらしい。

まだ23歳なのだ。いくらでも道はある。

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