営業日記|あぶない営業パターン

社畜日記

突然営業の電話がかかってきた。

「DMの発送を格安でやります。お話だけでも聞いてもらえませんか」

というので話しを聞くことにした。
約束の時間の15分も前にその営業マンはやってきた。肩書きには「マネージャー」とあった。
そいつのヘアスタイルもちょっと個性的だったが、まず、もう秋だというのにノーネクタイだ。真夏でもなく、しかも初めての営業先に行くのにこれはないだろう。さらにワイシャツの襟が片方だけジャゲットにだらしなく埋もれている。
言葉遣いだけ一生懸命丁寧にするように努力しているようだが、その端々で付け焼刃的な雰囲気が濃厚だ。こういう奴に限って下請けには高圧的なのだろう。椅子に座っている姿勢もだんだん崩れてきた。かなりデンジャラスなにおいを感じた。
仕事云々の前に、人としてどーなんだろうと疑問を持ってしまったおれにはもうその時点でそいつの営業トークは耳に入ってこなかった。

立場上、売込みに対して応対する場面が多いが、
「何でこの会社はこういう人を営業マンとして客のところに行かせるのだろう」
と思いたくなることが多々ある。

その数時間後、今度は名指しの営業の電話がかかってきた。

「マンション経営をして払いすぎている税金を取り戻しませんか」
「マンション経営をして家賃収入を得ませんか」

この手の電話はものすごく多い。この一年半くらいで激増している。
たぶん私の名刺情報が出回ってしまっているのだろう。
毎回会社は違うが電話でのトークはほぼ同じだ。そして電話をしてくる奴の切り返し方も大抵同じだ。

「こういう電話、やっぱり多いですか。いろんな会社がかけてくるでしょうが、私どものは・・・」
「実際に会ってお話を聞かれたことはありますか?詳しく説明させていただければその良さが理解していただけると・・・」
「ご都合のいい時間で構いませんから名刺交換だけでも。夜でも結構です」
「資金がない方こそやっていただきたい話なんです」

おそらく会社命令で電話をかけまくっているのだろう。こういう電話はおそらく

①問答無用で一方的に、即切られる
②「ふざけんな、仕事中にこんな電話してくんなバカヤロー!」と怒鳴られて切られる
③何で自分の個人情報を知っているのだ、どこから入手した、責任者に代われ、と徹底的に問い詰められる

などのパターンがほとんどじゃないか。
こんな営業手法をいまだにやっている会社が存続できるというのもオドロキだ。話しをまともに聞いてくれるのは1000件に1件か。じゃあ会ってくれるのは10000件に1件だろうか。大抵電話口からは回りでも電話をかけまくっている声がもれ聞こえてくる。でも人を雇ってそういうことを続けていける、しかもそれが一社や二社じゃないということは、確率よく騙されちゃうやつがいるんだろうか。

実際テレアポを行っている人たちも気の毒だ。
この就職難の時代にやっと滑り込んだ会社でいきなり上司から電話入れを命じられ、一日中知らない人に電話をかけ続ける。アポが取れなければきっと「この役立たず!」とか「給料ドロボー!」とか罵倒されているんだろう。電話をかけては知らない人に怒鳴られ、電話を切れば社内の上司に罵倒され、かなり気の毒な役回りだと思う。よくこんな仕事続けられると感心する。

この手の電話がかかってきたときに思うのは、ここでもし自分が冷たくあしらってしまったときの、電話の向こうの人の心が他人事ながら気にかかる。断られることにも慣れてしまっているのかもしれないが、相手も生身の人間だ。こんな仕事を続けていたら精神障害に陥ってもおかしくない。だから断るときもなるべく淡々とお断りするようにしているが、中には切らせまいと一方的に話しまくる人もいたり、驚いたのは「会うつもりはない」というとまるで逆ギレしたかのように向こうから電話を叩き切った奴もいた。

ところでヘンな営業マンの来た数時間後にかけてきたテレアポ、女性なのだが
「以前も一度かけさせていただいたんですが、覚えていらっしゃいますか・・・マンションの経営の件ですが・・・」
もういろんな人から何十件もかかってきているのでいちいち覚えていないが、この人は私にかけてきたのは二度目なのだろう。こういう営業で同じ人が2回目を電話してくる人というのも初めてだ。いまだにその会社に在籍して、今日も電話をかけまくっているのだろう。きっと鋼のような強靭な精神力をもった人なのだろう。

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