ゴキブリ襲来

エッセイ

「ゴキブリーが出たー!!!」
鬼嫁はパニックになりながらおれに電話してきた。
そんなことでいちいち仕事中に電話してくるな。

しかし確かにゴキブリが出るとは意外だった。
たぶん我が家始まって以来の事ではないだろうか。
というのも、我が家には構造上、ゴキブリの侵入路がないのである。
まずその温床となる床下、これが我が家には存在しない。
床はもちろんあるが、床と床下の間の空間がないのである。
基礎のコンクリートの上にコルクシートを敷いてその上に直接床板を貼ってしまっているのだ。
だから「床下の点検です」と言って騙そうとするインチキシロアリ駆除業者には絶対騙されない。
点検する床下がないのだから。

排水口にもゴキブリがいるというが、ここもカバーがしてあるので進入は不可能だ。
換気扇も細かいネットがセットしてあるので入れない。
エアコンのダクトというのも話には聞くがちょっと考えづらい。
窓を開けることはあっても全て網戸がついている。
玄関を開けた瞬間に、狙ったかのように進入するというのもありえないだろう。
そんな知能がゴキブリにあるとは思えない。

そう考えていくと、ゴキブリがどこから入ってきたかが全く謎である。
とりあえずそのゴキブリは鬼嫁の殺虫剤大量照射によって殺害された。

しかしそのわずか2週間後、再びゴキブリが現れた。
場所はトイレだった。
これにはおれも驚いた。

一体どこから・・・。

鬼嫁は再び半狂乱になり、おれにそのゴキブリの殺害をを命じた。

「なんでゴキブリがいるのよ、だいたいあんたが休みの日に家でダラダラしてるのが悪いのよ」

と理不尽な八つ当たりをしてきた。
おれの休日の過ごし方とゴキブリ出現の間にどういう相関関係があるというのだ。

その後、鬼嫁はインターネットで調べまくり、にわかゴキブリ博士になっていった。
いろいろな可能性を検討したが、やはり進入経路は謎のままだ。

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