理不尽運動会~中編

育児の部屋

演目の二つ目は親子お遊戯、「まるまるもりもり」だった。
園児とその親が向かいあって校庭を回りながらまるまるもりもりを踊るのだ。
これも撮影はなかなか難しい。大勢の親子が一斉に踊り始めるので人が被って目指す被写体を追いかけるだけでも苦労する。

「真ん中であや先生とまい先生がお手本を見せますからねぇー」
アナウンスが流れ、音楽が流れ始めた。 校庭の中央で先生二人が振り付けをやっている。おれはそれは練習だと思っていた。
その後全員でやるものだと思っていたが、ふとイヤな予感がした。
これ、もしかしたら本番?
確かにみんな踊っている。
マズイ!おれはすぐに妻と息子を探した。しかしもうかなり移動してしまっていて、すぐには見つからなかった。
やっと見つけて録画ボタンを押したがそれはもう終わる寸前だった。

「ちゃんと撮れた?」
戻ってきた妻はすぐに確認してきた。
「うーん、撮ったけど、やっぱりこれだけ大勢いると他の人とかぶっちゃってなかなか難しいよね・・・」
「なによ、また失敗したの?いい加減にしてよ」
「いや、撮ったよ、撮るには撮ったよ」

そして続いての演目は「バルーン」。
これは子供たちが大きな布のはしを持って、その中に空気を入れ、布で大きなバルーンを作ったりするのだ。
「これ失敗したらシャレになんないからね。これ、すごく練習してたんだから」
妻はおれに畳み込むようにプレッシャーをかけてきた。

これは校庭の三ヶ所にグループに分かれて行う。
息子のグループはどこだ。
「あの向こう側でやるはずだから、ほら、また前へ出て!」
妻はかけっこの時と同じようにおれを前に出そうとした。
「あの場所なら向こう側に回ったほうが近距離から撮れるよ」
と言い残し、おれは校庭の反対側へ向かった。
行ってみると確かにこっちの方がうまく撮れそうだった。すぐ横では年中組が入場の準備をしていた。
ここでおれはひとつの勘違いをしていた。グループというのはクラスごとだと思っていたのだ。
隣で準備をしている年中組を見ると、息子の姿が見えない。よく見ると「ぼたん」組の子自体少なくないか。
あれ、息子はどこだ!そこでおれはこのグレープ分けが混合チームだと気づいた。
しかしそれにしても息子はどこにいるのだ。探しているうちに入場の音楽が始まってしまった。
マズい!このままじゃ撮れないじゃないか!
妻が「あの辺」と言っていた場所はおれの目の前だ。しかし息子はいない。
妻が場所を間違えたんじゃないのか。おれはもう一つのグループに目をやった。
と同時に向こう側から妻がおれをすごい目で睨んでるのに気がついた。
妻はおれの前のグループを一生懸命指さしている。
もう一度前のグループを見ると、あれ、息子がいる!
おれはすぐに録画ボタンを押した。

なんとかこれは上手く撮ることができた。
撮影を終え、妻のところに戻った。
「いやぁ、てっきりクラスごとだと思っていたからさあ・・・」
「他のクラスも一緒だって言ったじゃない!」
えーそんなコト言ったか?

続いていよいよ最後の演目だ。
これはおとうさん、つまりおれが参加するのだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました