後からジワジワくる『シン・ゴジラ』の魅力

映画の部屋

『シン・ゴジラ』だ。
 ハリウッドが1998年の世紀の駄作、いわゆる「ハリウッド・ゴジラ」の汚名を返上すべく作り直した(のかどうかは知らないが)『GODZILLA』が2014年に公開したばかりなのに、今度は本家の東宝がさらに新しいゴジラを制作したのだ。そして今回のミソはなんといってもエヴァンゲリオンを制作した庵野秀明が監督・総指揮ということだ。
これまでのマンネリゴジラシリーズからの脱却か。

公開後の評判はすこぶる良かった。
「2分で引き込まれた。ただの怪獣映画と思ったら大間違い」
「ゴジラそのものにまったく興味がなかったが、観終わって全く後悔がない」
「あっという間の2時間だった。これを観ない理由がない」

一方、「つまらなかった」「期待はずれ」という声は皆無だ。
一体どういう内容なんだろう。いやがおうにも期待は膨らむ。

 この『シン・ゴジラ』の公開記念とかで直前にテレビで『ゴジラFinal Wars』(2004年公開)というのがやっていて、録画しておいたので見たのだけど、これはもう東宝映画はついにここまで落ちたかと思えるほどの見るに堪えない代物だった。よくあんなものを公開したと思うし、これを1800円払って映画館で観た人の後悔ははかり知れない。
いつの間にか子供の味方になってしまった「ゴジラ」シリーズを原点に戻すとして作られたのが1984年に公開された『ゴジラ』だったと記憶している。タイトルもわざわざ1作目と同じにしていた。
しかしその後も結局「ゴジラ対○○」と対戦シリーズに戻り、「今回が最後」という宣伝文句を100万回聞いた。だから人々はハリウッドゴジラに期待し、そして単なるトカゲゴジラに打ちひしがれ、もうゴジラなんかに誰も期待しなくなっていったのだろう。
そんな中で2014年に公開され渡辺謙も出演したMade in USAの『GODZILLA』は、ストーリーに無理はあるものの、その映像の迫力もありなかなか満足できる作品だった。

 そして話は今回の『シン・ゴジラ』だ。「シン」と付けるあたり、いかにも庵野秀明らしい。
通常私は映画を観るといえば会社帰りに近くのシネコンへ行くのが密かな楽しみだったが、今回のゴジラに関しては、テレビでCMが流れるたびに鬼嫁が「これ、面白そーよねぇ」とけん制してきていた。観たいのかよ・・・。もしおれが勝手に観てきちゃうと、きっとまた面倒なことになりそうだ。
そこで仕方なく今回は家族三人で観に行くことにした。
で、ようやく『シン・ゴジラ』だが、うーーーーーーーん、どうなんだろう・・・。

みんなが絶賛するほどスゴかったかというと、まあそこまで大騒ぎすることじゃないんじゃないか、というのが率直な感想だ。ただ、従来の東宝スタッフが作ったら絶対こうはならなかったろう、とは思う。
ゴジラにエヴァンゲリオンのテイストをミックスするとこうなる、という感じか。
まあ子供が観ても全然意味が解らないだろうな。

実はこの数週間後、別のシネコンでこの映画が「4DX」で上映されていることを知った。
「4DX」とは3Dに加え、椅子が揺れたり風が吹いてきたり、場合によっちゃ水が飛んできたりするらしい。ここまでくるともうアトラクションの領域だ。
しかしどうしてもそれを体験したくて見に行った。

ゴジラが歩いたり暴れたりすると確かに椅子にずーんと振動が来る。
でもまあそれだけで、追加料金を払ってまでの価値があったかどうかは微妙なところか。
しかし意外なことに、2回目のシン・ゴジラで「あ、この映画、いいじゃん!」という気分になった。

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