他では絶対味わえない異次元ラーメン『無銘』(東京・神田)

グルメの部屋

JR神田駅と秋葉原駅の中間あたりのガード下に一軒のラーメン屋があり、いつも数人が並んでいる。駅と駅の中間ぐらいでかなり不便な場所にある。人通りの多い場所でもない。そして不思議なことにどこにも店名が出ていないのだ。暖簾に唯一「麺」と書いてあったが、まさかこれが店名だとは思えない。


それでも行列ができるのには理由があるのだろう。機会があれば一度入ってみよう、ぐらいに考えていた。
そしてある日、わりと空いていたので入ってみた。
自動券売機のメニューを見ると
・熟成練り醤油ラーメン
・塩ラーメン トリュフオイル掛け
・魚介つけ麺
基本的にはこの3種類。なんだろうこれは・・・トリュフオイル掛け?


とりあえず無難そうな醤油ラーメンにしてみた。
待つこと数分、出てきたラーメンは明らかに今まで経験してきたものとは一線を画していた。
見た目は「ラーメン」だが、そこに漂うオーラは明らかに別の料理だ。


スープを飲んでみる・・・これはポタージュスープだ!
もちろんコーンポタージュとかではないが、いわゆるラーメンのスープとは異質なものだった。
麺は平麺だが、「ラーメン」というよりは「パスタ」と言った方がニュアンスとしては合ってるように思う。
注文時には「練り醤油」というのが意味が分からなかったが、これは確かに何かを練りこんだものがドンっと乗っかっていて、
これを少しずつ崩しながら食べるとまた味に変化が出るようだ。
食べ終わった時の感想としては、「美味しいラーメンを食べた」というよりは「美味しい創作料理を見つけた」という印象だった。


後日、やはりメニューで気になっていた「塩ラーメン トリュフオイル掛け」を食べてみた。これもビジュアル的にはなかなか迫力のあるもので、
麺の上にどっさりとレタスサラダにオリーブオイル(いや、トリュフオイルか)がかかっていて、一体どんな味がするのか想像もつかなかった。
「塩ラーメン」と言えば店によってさまざまなスープがあり、「サッポロ一番」の塩ラーメンがその基本なのかもしれないが、ここの塩ラーメンはやっぱり独創的なポタージュ感覚だった。そしてこれも創作ラーメンというか創作パスタと言った方が近いのか、とにかく他では食べられない味だ。



その後も何度か足を運んだが、「魚介つけ麺」だけはずっと敬遠してきた。なんでこれだけ普通なんだろうと思ったからだ。
「魚介つけ麺 オマール海老のせ」とかであれば興味津々となるのだろうが、「魚介つけ麺」・・・普通じゃん。
んで、ある日、TV番組でつけ麺が出てきて、無性に食べたくなった。そこで秋葉原でいくつかつけ麺の店を物色し、食べログで星の数を確認しながら「ここなら間違いないだろう」と思われる店に入った。店内にはいかに自分の店のつけ麺がおいしいのか、スープが違うだの麵が違うだのなんかの賞を取っただの雑誌で紹介されただのいろいろ張り紙がしてあった。そこまで自信があるならと、「(具が)全部入り」のを奮発して注文した。
しかし結果は「やっぱり食べログは全然あてにならない」という落胆の気持ちで終わった。まさに「普通」だったのだ。
すごく残念な気持ちとイラ立ちをおぼえながらふと、「あの店のつけ麺ならどうだろう」と思いがよぎった。
その数日後、再び例の店に行き、「魚介つけ麺」を注文した。


正直それほど期待はしていなかったが、出てきたものは期待も予想も大きく超えるものだった。魚介スープもやっぱりどこかポタージュスープを彷彿とさせる微妙で繊細な味付けで、スープの中は意外と具沢山。さらに「お好みでどうぞ」と赤い液体の入ったボトルを渡された。トマトと何かのスパイスらしいが、これも麺やスープに合う。

この店、やはりイタリアンのシェフの店らしい。店名が無かったので「無名」⇒「無銘」となったらしく、今ではその名前で食べログにも載っている。星の数はなんと3.74。

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