一週間でギターは弾けるか・・・続き

アコギの部屋

『小椋佳で弾く 一週間ギター独習』

買ってはみたものの、ギターを持ってない。
いきなり親に「ギターを買ってくれ」というのも子供ながらに躊躇された。
そもそもギターとは一体いくらぐらいするものかも知らないし、ましてや独学で弾けるようになるかということもまだ完全に信じていたわけではなかった。

私は親戚の家にギターがほこりをかぶって物置に放置されていたのを思い出した。
当然使ってないのだろう。
翌週そのギターを借りに行った。
それはカワイ楽器のクラシックギターで、糸巻は錆びつき回すのにも一苦労だった。
とにかくその本をバイブルに私はギターの独学を始めた。

コードというものを覚え、その通りに鳴らせば確かに伴奏になる。
なるほどなるほど。
最初は全く動かなかった指もだんだんなんとなく動くようになり、やがてアルペジオやスリーフィンガーもできるようになった。
一年くらいそのギターで頑張っていたのだが、やがてちゃんとしたギターがほしくなる。
カワイ楽器のそれは音がどうのという世界ではなく、とりあえず弦は6本あって音は出る、というレベルだった。

そのころ、地元の駅前に楽器店がオープンした。
学校帰りにフラッと立ち寄ったら、当たり前だが店員が「どれか弾いてみますか」と声をかけてきた。
店員がセレクトしてくれたものを弾かせてもらった。
それは「Sヤイリ」というメーカーのものだった。
このような形で試奏するのはもちろん初めての経験だった。
当然ボディサイズも違えば弦もクラシックギターのようなナイロンではなく、スチール弦だった。

ジャラ~ン・・・

なんだこれは!
レコード(CDではない)と同じ音がするじゃないかっ!

ジャンク品のようなギターを弾き続けてきた私にとって、いわゆるちゃんとしたギターを弾くのは初めてだったこともあるが、そのきれいな音に衝撃を受けた。

「これ、いくらですか?」
「8万円だけど2割引きできるから6万4千円ですね」

今とは時代も違うが当時の高校1年生にとっての6万円なんて持ったこともない大金だった。
今はどうだかわからないが、当時は「定価の2割引き」というのがギター業界での暗黙の商習慣だったようだ。その後、どの楽器店に行ってもまるで申し合わせたように「2割引き」だった。
それから子供なりに雑誌とかでいろいろ調べ始め、通販だと1万円台から販売されてることを知った。
しかしある時学校でエレキギターを弾いてる級友が
「そういうの買っちゃうと絶対後悔するよ。確かに安いかも知れないけど、やっぱり安いなりのものだからいずれちゃんとしたギターがまた欲しくなっちゃうよ」
とアドバイスしてくれた。
結果としてその数か月後、私は「Headway」というメーカーの“ちゃんとした”ギターを入手することができた。
まあ家で引く程度で満足してればよかったのだが、このあたりから私の勘違い人生が始まっていったのだろう。

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