超初心者が挑む富士登山⑬~詰めが甘い

富士山

ようやく6合目にたどり着いた。
うーん、ここ通ったな。5合目はもうすぐだな。
ここから5合目は登る道と下る道が同じである。
だから出発の時も下山してくる人とたくさんすれ違った。
そういえば昨日見た人たち、みんな暗い表情をしていたがそういうことか。
疲れ果ててうんざりしてたんだろうな。そしてウキウキ顔で今から登山に向かう人たちを見て
「こいつら地獄を見るぞ」
と心の中で思っていたのかも知れない。
自分が今まさにそんな心境だ。

そして5合目に到着した。
時計は11時50分だった。約5時間かかったことになる。
登りが合計11時間、下りはその半分か。
もし日帰り登山をやるんだったら「下りはあっという間」という感覚になるのかも知れない。

おれは拠点となっている「富士みはらし」のカウンターへ行った。

「あの、さっき電話した者ですが、今到着しました」
「あーはいはい、お名前は・・・あーはいはい。バスは11:20に出てますね」
「えっと、それで私はどーすればいいですか」
「えーっとですね、二つ方法があります。ひとつは路線バスで河口湖駅に出て、そこから高速バスで東京に向かう方法・・・」
「はぁ・・・」
「それからもうひとつは温泉で合流する方法・・・」
「ああはいはい!」
「でもこちらはあまりお勧めできないんですよ」
「え?」
「タクシー代だけでおそらく1万円超えると思うんですよね」
「え!そんなに遠いんですか?」
「んー多分車で45分くらい走ると思うんですよね」

別に救済策があったわけではないのだな。ではなんであんなに明るく「気をつけて下山してきてくださいねー」などと言ってたのだろう。結局自力で帰れってことか。
まあ自己責任だから仕方ない。

「バスってどこから出てるんですか?」
「そこのロータリーです。一番早いので12時45分発がありますよ」

うーん最後の詰めが甘かったな。
まあこれが初心者ゆえの詰めの甘さというやつだろう。
立ち寄る温泉もgoogleマップで見たら富士スバルライン5合目からすぐ近くだと思ってた。だからタクシーで2000円くらいで済むだろうと勝手に想像していた。

結局おれは路線バスで河口湖駅経由で東京に帰ることにした。というかそれしか選択肢はなかった。

最後の最後で残念な結末を迎えてしまった。
しかし別の見方をすれば、登山の全くの素人がいろいろ調べて、(高尾山で)練習もして、ガイドもつけずに自力でちゃんと頂上まで行って、高山病にもならず怪我もせず無事下山できて、我ながらよく頑張ったと思う。
冷静に考えれば感動ものだ。
うん、自分をもっと褒めてやってもいいだろう。
欲を言えばもうちょっと頂上にいたかったがまあ仕方ない。

河口湖駅ではちょうど1時間後に東京行の高速バスがあった。

おれは駅前にあったほうとう専門店「不動ほうとう」という店に入り、名物だというほうとうを食べたらこれが意外なほどおいしかった。

「番外編」へつづく

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