肉離れ

エッセイ

昨年に引き続き、今年も年末にテニススクールの草テニス試合に出ることになっていた。
 少しでも体重が落ちればよりボールに追いつきやすくなるだろうと考えたおれは、徹底的なカロリー制限に加え、週2回くらいの夜のランニングも始めた。
そして順調に3.5kgほど減り、試合まであと一週間というところだった。
いつものレッスン中、本人もなかなか調子が良いと思っていた矢先だった。
ボールを追いかけようとして一歩踏み出したそのとき、右足のふくらはぎに隣のコートからか飛んで来たボールが当たった・・・と思った。
「あっ」と思った瞬間、おれはあたりを確認した。
その辺にボールが転がっていないか。すぐ後ろに控えた人に聞いた。
「今、ボールぶつかりましたよね」 
しかし誰もボールなんか見てないという。その時点でああ、またやってしまったと思った。
「肉離れ」だ。実は一年半くらい前にも左足を経験しているのですぐに状況を理解してしまった。


一年半前に初めて肉離れを起こしたときも、まさに「ボールが足に当たった」という感覚だった。
その時もボールを捜したがやはりどこにもなかった。
そしておれは足がつったと思い、恥ずかしいから一生懸命伸ばしたりしていたのだ。
後で知ったのだがこれは一番良くない処置だったようだ。

初めての肉離れのときは、翌日には歩けなくなってしまった。
足をつくだけで激痛だった。
「肉離れ」自体初めてだったのでよく理解してなかったが、医者の話では筋肉が断裂した状態だという。その時は近所の整形外科に行ったのだが、

「ああ、典型的な肉離れですね。松葉杖貸し出しますから、そこの廊下で使い方を教わってください」

と言って、患部に触れることもなく、看護婦はシップを一枚貼っただけで何もしてくれなかった。
ちょうど雨が続いた週だったので、おれは二日間会社を休んだ。松葉杖をついて傘を差してカバンは持てない。
一週間は歩くのにも苦労したが、たまたま行った整骨院では、筋肉の断裂している箇所を確認してテーピングをしてくれた。それでかなり歩きやすくなった。
このときの経験で、肉離れや突き指、捻挫などを起こしたら迷わず整骨院に行ったほうがいいのだと学んだ。


しかしよりによって、試合の一週間前に肉離れを起こすとは何という不運。
ただ、今回はすぐに肉離れとわかったのでスクールでも40分ほど氷で冷やし、テーピングでぐるぐる巻きに固定してくれた。
そして翌朝おれは近所の整骨院に行き、プロのテーピングをしてもらった。
するとなんと、今回は三日目には普通に歩く分には不自由のないほどに回復した。
しかしどちらにしても試合は無理。この二ヶ月間のダイエットも目標を失ってしまった。
今、リバウンドが怖い・・・。

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