新宿バスタ、24:00発「伊勢市駅」行き。
初めて新宿バスタに行ったが、新宿駅南口の真ん前にあるとは知らなかった。
迷いようがないロケーションだ。
その4Fが出発のフロアになる。
今まで夜行バスと言えば上野駅周辺の路上だったり池袋サンシャインの裏手だったりで、なにかこっそりと乗り込むような雰囲気がいつもあったが、新宿バスタはまるで「高速バスの空港」という感じで、ここから全国に向けて長距離バスが続々と出発していく。
今回の日程は木曜日の深夜に東京を出発し、金曜日の朝に伊勢市駅に到着することになっていた。
3週間くらい前に長期予報で見ると、伊勢市の天気は「晴れ」で降水確率は30%くらいだったが、出発日が近づくにつれどんどん降水確率が上がっていき、一週間前にはなんと降水確率70%。完全に雨になってしまった。しかもその前日までと翌日以降は全部晴れマークになっている。
まさに金曜日だけピンポイントで雨が降るという。
「神社で雨はむしろ縁起がいい」という話も聞いたことあるが、やっぱりどうせなら傘をささずに歩きたい。
まして伊勢神宮は日本の神社の中でも最大の面積だというではないか。
しかし雨マークはなかなか消えず、最終的には60%までは下がったが、よくて曇り、順当に行けば確実に雨だろう。
そんな心配もろともバスは出発した。
そしておれはすぐに眠ってしまった。
翌朝バスは予定よりも1時間早く伊勢市駅に到着した。
青空だ!
雲も見えるが真っ白の雲で雨雲ではなさそうだ。
「やはり天照大神がおれを呼んでいる」
と精一杯うぬぼれながら、外宮を目指して歩いて行った。
伊勢神宮は「外宮」と「内宮」に分かれていて、まず「外宮」から参拝するのがルールだという。
「外宮」とは何かというと、天照大神に食事の世話をしていた「豊受大御神」という神が祀ってあるらしい。
天照大神に仕えると日本最大の神社の半分がもらえるのか。
これは内宮でも感じたのだが、地図上では確かにかなりの土地面積があるのだろうが我々一般庶民が歩ける範囲はそう広くはない。
むしろ「え?これでおしまい?」というレベルでしかない。
意外にあっという間に「外宮回り」が終わってしまったので、そのまま「内宮」へ行ってみることにした。これはバスで行かなければならない。
バスに約15分ほど乗ると「内宮」の入り口に着く。
写真でよく見る鳥居が出てきた。
「これかぁ・・・」
と本当はしみじみと感動するはずだったが、鳥居の前でみんなスマホで写真を取りまくっていてとてもそんな感傷に浸る雰囲気ではない。
どうみても一大観光地と化している。
内宮はまさにキングオブゴッドの天照大神がいるところだ。
天照大神は太陽神だから変に神秘的にならずに人々がたくさん来てにぎやかな方がいい、ということなのだろうか。
途中、五十鈴川が出てきた。
確かに水は透き通っていてきれいだ。
この水は周りに見える山々から湧き出ている水だからこんなにきれいなのだろう。
この水に持っていたパワーストーンのブレスレットを浸してみた。
果たしてパワーストーンが天照大神のパワーを吸収してくれるのか、あるいはものすごく罰当たりなことをしているのかよく分からない。
結局内宮も、確かに広い敷地はあるのだろうが一般人が動けるのはそのごく一部でしかなく、全貌はまるで分らない。
どうして昔の人はそんなに伊勢詣でにこだわっていたのだろう。
「伊勢神宮はその敷地全体が既にパワースポット」と公式ホームページにも書いてあったが、何か肝心の所を隠されているような気がする。
一般庶民がむやみに近づけない、近づいてはいけないものがおそらくそこにはあるのだろう。
内宮の参拝スポットで順番待ちをしていると、一般庶民の入れない森の中で何かが動いた。
周りの人も一斉にそちらを見てる。
「鹿だ!」
そう、一匹の小鹿がやってきた。
もちろん我々の所までは来れないが向こうの方からこちらを見ている。
神社で動物に会う、というのは縁起がいいと言う。
「歓迎されてる証拠」ともよく言われる。
そういえば京都の貴船神社では野生のタヌキが出てきたし、八咫烏(やたがらす)で有名な下賀茂神社ではまさに目の前にカラスが舞い降りてきて、こちらをじっと見ていた(気がする)。
平日にもかかわらず時間とともに人はどんどん増えてくる。
伊勢神宮に隣接した「おはらい町」なるものは浅草の雷門の仲見世通りのようで、やはりこれはもう神秘的な「聖地」というよりは「観光地」という様相だ。
しかしもしこれが早朝の誰もいない時間帯だったら受ける印象は全く違ったであろう。
さらい言えば、我々庶民が見せられているのは伊勢神宮のほんのわずかな部分だけであって、もし伊瀬神宮がそのすべてを開示されたら、そこには今まで想像もつかなかった真実があるのかも知れない。
しかし見れないものは見れないので、次の目的地、奈良へ向かった。
明日は「神の山」に登るのだ。
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