これは問題作『沈黙の艦隊 シーズン1 東京湾大海戦』

ドラマ

「核武装することが一番安上がり」
と、この前の参院選で当選した女性議員が発言した。
おそらく何も考えずに口走っちゃったのだろうと思うが、その政党もこの発言について何も言及しないようなのでまあそういう考えの党なのだろう。

この間『鬼滅の刃 無限城編』を見に行った時に予告編で『沈黙の艦隊』がやっていたので少し興味を持ち、Amazon プライムビデオで無料だったので見てみた。
『沈黙の艦隊 シーズン1 東京湾大海戦』だ。
もともとは2023年に劇場版として公開したものをドラマ化したらしい。

シーズン1は全8話で、1話がだいたい40分くらいなのですいすい見ていける。
これが韓国ドラマだと1話だけで1時間40分とかもざらで、しかも全16話とか言われるともう長距離マラソンみたいなもので、よほど面白くないと大抵途中で挫折する。

物語ではいきなり「核」が登場する。
日米で秘密裏に共同開発した原子力潜水艦「シーバット」。
米海軍第7艦隊に所属する日本初の原子力潜水艦という設定だ。
その艦長、海江田四郎(大沢たかお)はこのシーバットごと奪い去り、独立戦闘国家「やまと」として建国宣言をする。
しかも「シーバット」には核弾頭を積んでいると言う。

潜水艦が「国」として独立宣言をするという発想もすごいが、この作品は間違いなく「問題作」でもある。
原作を読んでないし最後の結末は知らないので原作者がどういう意図でこの作品を作ったかは分からないが、憲法改正や核武装だの、終わらないロシアとウクライナ戦争、ジェノサイド状態になってもなおガザへの侵攻をやめないイスラエルと国連の無力さ、いつまでも米国の植民地と言われる日本に、間違いなく一石を投じた作品だろう。


「核ははたして戦争の抑止力になるのか」

世界から戦争がなくならないのは兵器産業と政治の利権や領土問題、民族、宗教など様々な要因があるだろうが、たとえ世界から核が無くなっても戦争は無くならない。
日本史はもちろん世界の歴史は殺し合いの歴史だらけだ。
なぜに人間はこんなにも愚かなのだろう。
どれほど科学が発達しても人類は戦争や紛争を無くせない。

世界中から武器が無くなれば戦争も無くなるのか。
地球上から国境が無くなれば紛争も無くなるのか。
全世界で宗教がなくなれば民族争いは無くなるのか。
「争い」は人間の本能だからそもそも戦争を無くそうということ自体が無理なのだろうか。
人類のレベルはもはやここまでなのか。

「なぜこんなことをしている、あなたは戦争を起こしたいのか」
ここで海江田四郎(大沢たかお)のセリフが超かっこいい。
「地球を一つの国家にするためだ。やまとは世界から戦争を無くすためにある」
大沢たかおの雰囲気が見事にマッチしている。
海江田艦長役に大沢たかおをキャスティングしたのは大正解だ。

シーズン1の最大のクライマックスは第7話、米国との直接会談にあるし、ここでの大沢たかおと米国大統領とのやりとりが一番面白い。
戦闘シーンよりもこの場面が一番ワクワクする。
米国にものを言えない日本政府の代わりに海江田艦長が米国大統領を論破していくのは痛快だ。

シーズン1では「やまと」独立から日本政府との同盟関係、東京湾を舞台にした米海軍第7艦隊との交戦までが描かれている。
そして9月26日からは第2章として『劇場版 沈黙の艦隊ー北極海大海戦ー』が始まるらしい。
これは映画館で見るべき作品だろう。

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