Softbankからウィルコムへの変更により3年間で42万円の節約を発見したおれが次に目をつけたのが「車」だ。
便利ではあるが金食い虫の代表格である。
毎月のガソリン代、毎年の税金と保険、さらに2年に1度の車検など所有しているだけでもどんどん金が流れ出てしまう代物だ。
我が家の車は子供が生まれた年に、不本意ながら使い勝手優先という名のもと、ファミリー向けの1BOXカーに買い換えた。
両側スライドドアで7人乗りで車内も広く、たまにはジイジとバアバも乗せて旅行にも行けちゃうぐらい便利だがその分燃費が悪すぎる。
いわゆる街乗りだと平均7km/ℓしか走らない。
満タンにすると簡単に6,000円、7000円が飛んでくが、燃料メーターはどんどん減っていく。
買い換えた当時は燃料計が壊れているか燃料タンクから漏れちゃってるんじゃないかと本気で疑ったぐらいだ。
だいたいちょっと近所に買い物に行くのに7人乗りの車で行くなんてまったくナンセンスだ。
そして昨年鬼嫁が免許を取ったので、こんなでかい車よりもコンパクトな車のほうが取り回しも楽だろうという思いやりの気持ちもわずかだがあった。
それにしても最近のエコカーブームはすさまじい。
プリウスはもちろんだがホンダもフィットハイブリッドで追撃、マツダ、ダイハツはハイブリッドを使わずしてハイブリッドカー並みの燃費のエンジンを開発した。
しかし我が家で買い換えるとなると結構制約が出てくる。
まず第一に、家計を良くするために買い換えるのだから新たに購入費用がかかっては意味がない。今ある車を下取りに出して、その金額で買い換えられるのが理想だ。
次に両側スライドドアで燃費がいいこと。
第三に、ときどきジイジとバアバも乗せるので5人乗り以上であること。
こうなるともう必然的に車種は限定されてくる。
ジャニーズのKAT-TUN(カツーンと言うとバカにされる)が宣伝していたスズキの「ソリオ」だ。
パッと見、軽自動車のようだが排気量は1.2ℓでちゃんと5人乗れる。
しかも後部座席は「まるで普通の1BOXカーのように広い」という。
実燃費(カタログ上ではなく実際の燃費)は待乗りで15Km/ℓぐらいだという。今の車の2倍だ。
ネットで口コミやレビューを見てみると「とっても静か」「これで十分」などかなり評判もよさそうだ。価格は諸経費込みで約170万円。
うーん、軽自動車でないにしても1.2ℓで170万とはかなり強気の価格だなぁ。
仮に今の車が150万で下取ってもらえても20万円足りない。
でも20万円値引きしてもらえばいい話か。
我々家族は次の日スズキの店に現物を見に行った。
地元のディーラーに行くと、若い営業マンが外にいた。
「ソリオ」は屋外に展示してあった。
「ちょっとこれ見たいんですけど」
「どうぞどうぞ」(笑顔)
おれたちは後部座席に座ってみたり運転席に座ってみたりいろいろ確認した。
「これって試乗車あります?」
「あ、よかったらそれどうぞ」(笑顔)
ああ、展示車がそのまま試乗車なのか。
「どうぞどこへでも乗ってきてください」(笑顔)
営業マンは同乗しないので勝手に乗ってきていいという。
まずはおれが運転してみた。
うーんハンドルが妙に軽すぎるな。
ミラーもえらく小さいが慣れの問題か。
まあチープ感は否めないが、日常生活で使うのであれば確かにこれで十分なのだろう。
2キロほど走ったところで妻と交代し、そのまま店に戻った。
「これ、実際値引きってどれくらい?やっぱり20万くらい?」
「いやいや、通常この価格帯の車はせいぜい7万くらいですよ。まあいろいろ相談はさせてもらいますが、行って10万越えできるかどうかです」
へーそんなもんなんだ。経験上値引きはほぼ諸経費分、という感覚だったが価格帯によって違うらしい。
「じゃあカタログください」
とカタログだけもらっておれたちは店を後にした。
しかしこの段階でおれはこの営業マンに対して圧倒的な疑問を持ち始めていた。
まずおれたちが試乗するときにさえ、免許証の確認もしなければアンケートも書いてない。
つまりこっちの素性をまったく確かめずに試乗車を同乗もせずに貸し出してしまった。
このまま乗り逃げされたり犯罪に使われたらどうするもりなのだろう。
そして試乗から帰ってきて価格のことを聞いているのに、この営業マンは名刺も出さずにじっと立ち話のままだ。
いまどき押しの弱いホンダだってまず商談席に座らせて「お飲み物は何になさいますか」とドリンクが出てきて営業マンは名刺を出してこちらの個人情報の収集にかかる。
値段の話が出ればその日の夜に見積書を出し直して家まで押しかけてくる。
トヨタだったら試乗でもした日には買うと言うまで店から出してもらえないかもしれない。
しかしこの営業マンはお茶も出さなければ自分の名刺も出さない、こっちの連絡先も聞かない。こんなの車のディーラーという業態以前の問題で、「営業」という業種の観点から言ってもありえない。「ざっくりと見積もりだしましょうか」ぐらい言えよ、営業なんだから。
まあどちらにしても試乗の結果、我が家の財政権を独占している鬼嫁によると「そんなに驚くほどいいというわけでもないから足が出るようなら買わない。いずれにしても今日の店では買わない」ということだった。
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