夏のインフルエンザ(疑惑)

社畜日記

先週約一週間、おれは仕事で東京ビッグサイトに泊り込んだ。厳密に言えば泊まったのはもちろん近隣のビジネスホテルだが、とにかく一週間家に帰れなかったのだ。
ここで行なわれたイベント(24時間テレビではない)の主催者なのだ。

イベントの最終日、の早朝4時におれは唐突に目が覚めた。最終日に近づくにつれ心身ともに疲労がピークに向かっていくのだが、よりによって最終日の早朝に目が覚めてしまった。
しかもその覚め方がヘンだった。
妙に意識がはっきりと覚醒しているのだ。
時計を見るとまだ4時じゃないか、なんてもったいないことをしたのだ。ここは迷わず二度寝だな。

しかしなんでこんな時間に目が覚めてしまったのだろう・・・・・・・・・・・・・・・・とその時、おれの大脳は「とにかく今すぐトイレに行け」と全身に向け指令を発していた。
そんなバカなと思いつつおれは本能の赴くまま、トイレに駆け込んだ。
そして腸内に残っていたであろう食物の残骸をほぼ出し尽くした。
しかしおれの脳はまだトイレから出ることを許さなかった。
しまいにはもう出るものが何もなくなってしまい、おれはそのまま再びベッドに戻り1時間ほど眠った。

そして6時にセットしておいた時計がなると、おれは再びトイレにいった。
胃腸をはじめ消化器官に残っているもの全てが出た(ような気がした)。
「昨日、何かヘンなものを食べたのだろうか・・・」
特に腹痛は無いが、いわゆる「腹にチカラ」が入らない状態だ。胸焼けもある。もちろん食欲はゼロだ。
そんな状態でイベント最終日の朝を迎えてしまった。

その日、おれは朝からずっと何も食べず、ただ時間が過ぎるのをひたすら待った。昼になっても相変わらず食欲がわかない。変わりに寒気がしてきた。風邪を引いたときに熱が出る直前の、あのいや~な感覚だ。だんだん関節もじんわりと痛くなってきた。
この時期、発熱といったらやはり疑うべきは新型インフルエンザだろう。ましてこのイベント会場には全国各地から一万人以上の人が来ているのだ。むしろウイルスを持った人がそれなりの数、紛れ込んでいると考えたほうが自然かもしれない。
しかし今日はやっと家に帰れるのだ。もうすぐ三歳になるかわいい我が子が待っている。しかし自宅にインフルエンザをおれが持ち込むわけには行かない。
そこでおれは鬼嫁に電話し、子供を嫁の実家に避難させた。そして夏だというのに寒いので上着を着て、さらにじっと時間が過ぎるのを待った。

そしてイベントが終わり、帰りの電車の中で、おれは軽く意識を失い(多分寝てただけ)、気がついたら駅に着いていた。しかしもう歩く気力も無く、おれはめったに使わないタクシーを使って家まで帰った。そしてさっそく体温を測ると「37.6度」。うーん微妙だ。これが今晩中に38度まで行ったらほぼ確実だな。そしておれはそのまま泥のように眠ってしまった。

朝、目が覚めると昨日よりは体が楽になっていたが、風邪っぽさは残っていた。体温は37度に下がっていた。一応念のため近所の医者に行くと、すぐにインフルエンザの鑑定をしてくれた。

そして待つこと20分、「結果が出ました」と言われ、再び診察室に呼ばれた。
「現段階では一応陰性でした。しかし今日、明日で38度までの熱が上がったら感染の可能性が非常に高いですからね。今陰性だって、感染している可能性も十分あるので安心できませんよ」とその医者は念を押すように言った。

この夏インフルエンザが流行っているのは聞いていても、どこか他人事に思えてならなかった。多分自分で痛い思いをしないと分らないのだろう。そして今日もおれはマスクもせずに(する気も無く)、元気に通勤電車に乗ったのだった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました