日吉の霊能者

スピリチュアル

前の会社の戦友のいかりくんとゴールデンウィークを利用してインドに行った。
インドに行った人は、「インド大好き、もう一度行きたい、ずっと行きたい、生まれ変わったらインドに生まれたい」というインド信者になるか、「あんなところは人間の住むところじゃない。もう二度とインドには行きたくない。もうインドという言葉も聞きたくない」という人に分かれるというが、自分はどっちだろう。強いて行きたくもないが別にキライと言うわけでもない、でももう一度行くかと言われたらちよっと遠慮したい、かな。しかしインドの女性は驚くほどエキゾチックで美人が多かった。だから「インドには行かなくてもいいがインド女性とはぜひお友達になりたい」というところか。

そのインドツアーで一緒だったお姉さんが「日吉(東急東横線)にすごい霊能者がいる」と教えてくれた。その霊能者は芸能人などもよく相談に行っていて、その方面では結構有名らしい。紹介無しでは受けないという話しで、「もし行くなら私の名前出していいわよ」とそのお姉さんは言った。

当時、偶然にもおれといかりくんは似たような理由で二人とも精神的にかなり参っている時期だった。
「君が行ってみて良かったらおれも行くからさ。とりあえず君、先に行ってきて」
といかりくんは言った。まあこれもいつものパターンだ。
インドから帰ってきて、おれは早速その人の紹介だと電話を入れ、予約を取った。

さて予約の日、場所は日吉駅から歩いて5~6分のところにあるコーポ住宅のようなところだった。
チャイムを押すと中からおばちゃんが出てきた。
この人が「すごい霊能者」か。
どうやら普段は普通の主婦をやっているようだ。

「あ、あの、電話で予約した・・・」
「ああ、はいはい。中へどうぞ」

一室に通され、その霊能者はおれと正対し、
「生年月日と名前を書いて」
と言って紙切れを渡された。
それにおれが書き込むと、おもむろにトランプを取り出した。
「(え、まさかトランプ占い?)・・・」
おれは宜保愛子のような、おれをじっと見据えて「あなたの背後には・・・」というシチュエーションを期待してたので、トランプを出されたときにはちょっと心がくじけた。
しかし約50分くらいのセッションは、終わってみるとなかなか満足感があった。
おれは恐る恐る聞いてみた。

「トランプの出た数字に何か意味があるんでしょうか」
「これは集中するために使っているだけで、別にトランプに意味は無いのよ。集中できればなんだっていいの」

その人の予言は、結論から言えば当たった部分もあるし当たらなかった部分もある。まあそんなもんだろう。霊能者だろうと占い師であろうと、当たったか当たらないかなんて検証のしようがないからだ。

宜保愛子や江原啓之クラスのリーディングは別格として、通常の占いレベルでは、そこに行く人は背中を押してもらいたいだけか、承認欲求を満たして欲しい、慰めて欲しい、「あなたは悪くないの」と言って欲しい人がほとんどだろうから、人生相談のスキルがあれば人気占い師になれるんじゃないだろうか。
人は弱ってくるとそういう超自然的な何かにすがりたくなる。
それ自体は悪いことではないし、ほとんどの人が同じようなもんだと思う。実際インドの占星術は驚異的な的中率があると聞いた。
「自分の未来の道を示してもらいたい」というのは分かるが、どの道を進むかは占いに頼らなくてもあらかじめ決まっているのかもしれない。

聖地巡礼の旅・・・第一部

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