とりあえず京都に戻ったおれは、まず荷物をコインロッカーに入れ、持ち歩くのは最低限にした。
これだけでもまさに「肩の荷がおりた」気分になった。
食事もしてなかったが、今から食べるともうどこにも行けないだろう。そして帰りのバスまで時間が大量に余るだろう。
あとひとつ、どこか行けないだろうか。かといって鞍馬寺はもう登るのが無理だ。足が疲れすぎている。
循環バスを見ていて「清水寺」の字が目に入った。
清水寺かぁ。龍は全然関係ないけど時間的にはちょうど良さそうだから行ってみるか。
やはりすでに相当疲れていたのだろう。あまり考えもせずに清水寺へ行く市内バスに乗ってしまった。
30分くらいで清水寺近くのバス停に着いた。
が、それは清水寺の前まで行くわけではなかった。なんとバス停から長い坂道を登っていかなければならないのだ。なんてこった・・・。
しかし引き返すわけにもいかないので坂道を登って行った。
そしてようやくたどり着いたらそこはやはり修学旅行生で溢れていた。
そりゃそうだろう、清水寺といったら修学旅行の定番中の定番だ。そんなのちょっっと考えればわかりそうなものだ。
ああなんでこんなとこ来ちゃったんだろう。
そういう自分も清水寺なんて中学の修学旅行以来だ。せっかくだから見ておこう。
おれは再び修学旅行生に交じって入って行った。
入り口になんと龍のモニュメント。なんか関係あるのだろうか。
入場料を払い「清水の舞台」へ。
そこにはまさに京都の写真に必ず出てくる清水の舞台がそのまんまあった。
清水の舞台から下を見下ろすと、高さ自体はそんなにすごいものではないと思われるがおそらく高所恐怖症の人には耐えられないであろう結構な迫力があった。
しかし見るところはそれでおしまいで、他に何かがあるわけでもない。
せめて龍雲とか出てないかと空を見たが普通の雲ばかりだった。
さあ、また駅まで戻って夕食でも食べながらバスの時間までの過ごし方を考えよう。
帰りのバス停へ行こうと歩いていると、
「八坂神社まで1.5km」という標識が出てきた。
「八坂神社?なんか聞いたような聞かないような・・・」
すぐにWEBで調べると、「八坂神社の七不思議」とか出てきた。
ここまで来たんだからダメ押しで行ってみるか。
おれは標識の方角へ歩き出した。
清水寺を出て小路を右手に道なりに歩いていくと、八坂神社に到達した。
時間は4時過ぎで、人ももうまばらだった。
しかし「七不思議」のひとつも感じられないままただ来ただけ、というような気分しかおれには無かった。やっぱりもう疲れちゃってたのだろう。
もったいないが疲労感の方が勝っていた。
ここまで来たからには最後は修学旅行のもうひとつのメッカ、新京極に行かなければならない。
前世ほども遠い記憶では確かお土産店がひしめいていて、15歳のおれはワクワクしながらあちこちの店をのぞいていた記憶がある。
八坂神社から新京極まではそんなに遠くないはずだ。
足はもう限界なほどに疲れていたが、どうせあとは夜行バスで帰るだけだ。
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