きくち寛ファンクラブ

きくち寛

もう一度あのライブが見たい、廃盤になったアルバムをなんとか手に入れる方法はないか・・・
おれは来る日も来る日もそんなことを考えていた。
今であればネット検索やメルカリ、ヤフオクなどいくらでもアプローチする方法はあるのだろうが、当時は時代が違う。ライブだって今ならDVDが発売されたりスマホで隠し撮りしてyoutubeにアップされるなんてこともあるが、そんな時代ではなかった。

「もう一度見たい・・・あの感動をもう一度・・・」

あまり考えすぎて、ついには再び夢の中であの感動ライブの会場の風景が出てきたほどだった。
人間というのは不思議なもので、強烈に持った願望には「引き寄せの法則」が発動されるらしい。


どういういきさつだったかよく覚えてないが、その1年ほどたった頃におれは一大決心をし、ファンクラブに電話した。
「あ、あの、もしファンクラブに入ると廃盤になってるアルバムとかコンサートの(カセット)テープとか特別に購入できたりするんでしょうか」

「きくち寛」のファンクラブだ。
電話には当然女性が出ると思っていたが、相手はなんと男性で、しかもファンクラブの会長だという。

「いやぁ、ファンクラブも男性会員が少なくてねぇ、男性会員が増えるのは歓迎ですよ。廃盤のレコードはファンクラブでは売ってませんが、私それ持ってるんでダビングしてあげますよ。今度男性会員だけで集まるので来ませんか」
「もちろん行きます!」

おれは指定の日に会長のアパートに出かけて行った。

アパートには会長と他に男性会員が2名いた。
おお、自分以外にも男性で「きくち寛」の曲を理解する人がいたのか。
まるで同志にでも出会ったような気分だった。
その日はファンクラブの会報を作るために集まっているのだという。成行き上おれも何か記事を書いた。そう確か日仏会館のライブの感動記事を書いたのだと思う。

突然会長が「そうだ、きくちさんに電話してみよう」と言い出した。マジか!
そして会長はホントに電話をかけ、そして途中でなんとおれに電話をかわってくれた。
なんということだ!
おれはあまりにも突然の展開にただ驚き、ド緊張で何かを本人と「話した」、ということだけ覚えている。

この日、おれは会長に廃盤のファーストアルバムを“カセットテープ”にダビングしてもらった。

話はさらに進み、「今度ファンの集いみたいのどこかでできないだろうか」という話になった。
当時、町田市にある大学に通っていたおれは
「うちの大学の集会室なら無料で借りれますよ。20人か30人くらいしか入れませんけど飲食もOKです。でもちょっと遠いんですけどね」
と提案すると話はとんとん拍子に決まってしまった。
なんときくち寛がうちの大学に来る!これはおれにとって夢のような話だった。

つづく⇒きくち寛ファンの集い?

きくち寛コンサートツアー「唄は祈りになれ」in日仏会館②

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