最強のチャーハン

グルメの部屋

庶民向けの中華料理の中でも製作に一番難しいのは「チャーハン」ではないかと思っている。
よくテレビ番組なんかでどこかの有名中華店の巨匠の料理人が作るチャーハンが紹介され、レポーターが
「こんなにご飯がパラパラです!」なんて絶賛していたりするが、加えて言うなら本当においしいチャーハンが作れるのは高級ホテルの中華や一流中華料理店や横浜中華街などではなく、その辺のどこにでもありそうな街の大衆中華料理屋、ラーメン屋なんかだと思う。かつて、私は「おお、これは!」と絶賛するようなチャーハンに3回出会った。

最初はJR荻窪駅の前にあった(今でもあるのだろうか?)スタンドラーメン店のチャーハン。そこで初めてチャーハンを頼んで、出てきたものを見た時はかなり落胆したのを覚えている。具らしい具が何も入っていなかったのだ。うっすらと卵と長ネギのスライスが混ざってるくらいで、なんとも寂しいチャーハンが登場した。しかしそれを一口食べた時、「なんだこのチャーハンは!」という驚きに変わった。言葉では伝わらないだろうがとにかく塩加減が絶妙であった。もう具の多い少ないなんてどうでもいい。そう思える一品だった。

2度目に感動したのは会社の近くにあった昭和初期を彷彿とさせる中華屋だった。年季の入ったカウンターに丸椅子。狭くてとてもきれいとは言い難いたたずまいだが、逆にそれが「なかなかやるな」という雰囲気を漂わせていた。昼時はいつもおっさんたちで満席だった。
そこで食べたチャーハンはやはり具が少なく、荻窪のチャーハンを彷彿とさせる作品だった。この時に思ったのは、チャーハンは塩加減ですべてが決まってしまうという確信だった。
この2店、実は結構時間が経ってからまた行ってみたのだが、初回の時のような感動は得られなかった。どうもその時によって調味料の入れ加減に誤差が出るのだろうか。逆にそれほどチャーハンの味付けは繊細なものなのだろう。

そして今までの中で最強と言えるのが神田駅のガード下にあったラーメン屋で、今はもう撤退してしまっているので店名も忘れてしまった。「龍」の字が入っていたような気がする。ここの「ラーメン半チャンセット」の半チャーハンは今考えても最強である。しかも何度行っても同じ味を再現していた。そして不思議なことに、この店は「半チャーハン」がおいしいのだった。あまりに美味しかったので一度普通にチャーハンだけを注文したら、そんなに感動はなく、後日また「ラーメン半チャンセット」を頼むと、その半チャーハンはやっぱり絶品だった。この店は半チャーハンをいつも再現性をもって提供していた。この店の撤退後、これを超えるものにはまだ出会っていない。
※後から分かったのだが「ラーメン半チャンセット」というメニューはダイエッターにとっては最悪の組み合わせらしい。

※写真と本文は関係ありません

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