サウナにはもちろん入ったことはある。
自分の中でのサウナの認識は
「暑さの中でじっと我慢し、強制的に大量の汗をかいて体から毒素を出すもの」
という定義であったがどうやらそんなレベルで済まされるものではないらしい。
最近にわかにサウナブームが来ていることは何となく聞いてはいたが、まあはっきり言ってどうでもいいことだった。
「サ活」とか「サウナー」とか言われ、熱狂的なファンが結構いるようだ。
オリエンタルラジオの藤森慎吾も筋金入りの有名なサウナーだ。
今サウナで話題になっているのは、サウナで「ととのう」という話らしい。
整う?
どーゆーこと?
そのブームに便乗して書籍やyoutubeでも早速サウナ関連のものがどんどんわき出している。
実はサウナの正しい入り方というのもよくわかっていない。
今までのサウナの利用の仕方と言えば、例えばスポーツジムだと最後にサウナに入ってさらに汗をかいてシャワーを浴びて帰る、というものだったし、温泉地やスーパー銭湯などにあるサウナに至っては、「せっかく温泉に入りに来たのにサウナでもないだろう」とほとんど利用しなかった。
しかしこれは完全に間違った、というかもったいないサウナの利用方法だったようだ。
サウナの効果である疲労回復、リラックスの度合いは、マッサージだとか運動で「いい汗かいた」、などとは比較にならないほど強力で、体の疲労だけでなく脳疲労も一気に解消し、一種トランス状態と言ってもいいような状態になるのだという。
ちょっとにわかには信じられない話だが、その状態を体験するためには条件があり、サウナに入った後にすかさず水風呂に入り、そして外気浴をするのだという。
その外気浴の時、いわゆる「ととのう」という状態になるそうだ。
今までサウナには何度も入ったことはあるが、そのあとの水風呂には一度も入ったことが無かった。
確かにサウナのあるとろでは必ず水風呂を見かけるが、なんでそこに水風呂があるのか意味が分からなかったし、サウナの後に水風呂に入るなんて自殺行為だと思っていた。
心臓に対する負担は相当なものだろうし、中には心臓マヒを起こす人だっているはずだと思っていた。
しかし違うらしい。
あの水風呂こそがサウナとっては絶対外してはいけないものであり、水風呂に入らなかったらサウナに行った意味すらないのだという。
まず正しいサウナの入り方として
① 湯船でしっかり体を温め、汗腺を開いて汗を出やすくしておく
② 汗を拭き、サウナに入る(8~12分)
③ 水風呂に入る(数十秒~2分)
④ ベンチで外気浴(10分程度)
これで1セットで、3~4セット繰り返す。
そうか、これで「ゾーン」に入り、トランス状態を体験できるのか。
しかしあの水風呂に入るというのは相当きついだろうな。
サウナの高温の中で耐え忍び、次は冷水の中に入って行くってもう修行でなければ罰ゲームだ。
いやいや、しかしそれも実はそうでもないらしい。
サウナを出て水風呂に入る。
当然冷たい。
しかし5秒たつと・・・・あら不思議
皮膚の表面がほんわり暖かくなってくるという。
この状態をサウナーたちの間では「天使の羽衣」と呼ぶらしいがそんなことあるんだろうか。
ここまでくると、あとはもう「快感」なのだそうだ。
これはもう実体験してみるしかない。
5月のゴールデンウィーク、おれは隣駅にあるスーパー銭湯へ行ってみた。
夜10時過ぎに行ったのに激混みだった。10時過ぎなのに小学生までいる。
おれはカウンターのお姉ちゃんに聞いてみた。
「今、相当混んでます?」
「そうですねぇ、かなり混んでますね」
「何時くらいだったら空いてます?」
「まあ・・・朝9時くらいなら・・・」
土日祭日は朝8時から営業してるようなので、おれは翌朝出直すことにした。
翌日、8時ちょうどくらいに着いたが、すでに結構人がいた。
おれは早速基本通り、まず湯船である程度体が温まってからサウナに入った。
85℃くらいだったからそんなに熱いわけでもないはずだが、サウナだから当然息苦しい。
まわりにはこれもお決まりだが汗ギトギトのおっさんたちがじっと己の汗をぽたぽたと下のタオルや床に大量に落としている。
自分もやってるのだから人のことは言えないが、もしかしたら自分が今座ってるところも少し前に知らないおっさんが大量の汗を垂れ流して行って、何も知らずにおれはそこに座ってるのかも知れない(きっとそうだ)。
10分ほど経ったあたりでサウナを出た。
そしてかけ湯で汗を流し、いよいよ水風呂だ。
これは初体験だ。
夏にプールに入る前に浴びるシャワーとはわけが違う。
おそるおそる足をつけてみたがやっぱり冷たい。
ホントにこんなところに入って大丈夫なのか。
しかし5秒だよな、5秒経てばあとは快感になるんだよな・・・
そしてついにおれは肩まで冷水に浸かった!
1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・
つ、冷たい・・・
あれ?天使の羽衣はどこへ行った?
やっぱり冷たいじゃないか!
すべての皮膚がどんどん冷やされていく。
「皮膚の表面に暖かな膜が・・・」って、どこにだよ!
20秒くらいでおれは水風呂を出て、外気浴のエリアに行き空いてたベンチに横たわった。
不思議なことに水風呂から出ると、そのまま裸で外に出て、まだ多少体は濡れているのに寒さは感じなかった。
ベンチで目をつぶり、これで「ととのう」というトランス状態が体験できる・・・はずだった。
しかしおれの脳内は特に何がどうなったという実感もないまま時間が過ぎていった。
おかしい
よし、2セット目だ。
結局この日、ルーティンを3セットやってみた。
が、天使の羽衣も「ととのう」体験もできないまま終わってしまった。
やっぱり1回行ったくらいでは分からないのだろうか。
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