乗鞍岳でご来光①

その他

今年の富士山はえらいことになってるらしい。
昨年の1.6倍の登山者があり、事故も多発したようだ。
思えば2年前、山登りなんか大嫌いだった私が突然「富士山に行くぞ!」と決め、その1か月後に本当に富士山登山を敢行し、幸運にも雨にも降られず雷にも会わず、さらに高山病にもかからず無事頂上まで到達できた、というのは奇跡だったと思う。

富士登山はまさに地獄であった。「舐めてかかると地獄を見る」というのは本当だった。
富士登山は体力とか根性の問題ではない。
標高2,300mの5合目にバスが到着し、そこから登山がスタートするわけだが、標高3,000mにある8合目の山小屋を目指している間、時々見る眼下には確かに絶景が広がっていた。しかしあまりにしんどくてとても絶景に感動している余裕などなかった。もったいない話である。
しかし2日目のご来光を見るために頂上を目指している時、その日の出直前に現れた壮大すぎる朝焼けはまさに我を忘れる一大スペクタルだった。

あの感動をもう一度味わいたい・・・
だからと言ってもう一度富士山に登れるのか、またあの地獄に・・・

しかしあの絶景は標高3,000mだからこそ見れる世界なのだろう。
そうか3,000mか・・・
要は3,000m・・・
簡単に3,000mまで行けるところはないだろうか・・・

あった!
それが乗鞍岳だ。
なんと標高2,700mまで一気にバスで登ってしまい、そこから1時間半で3,000m超の頂上にたどり着けるというのだ。「日本一簡単な標高3,000mの山」とも言われているらしい。
富士山の場合、バスは5合目で標高2,300m。そこからダイレクトに3,776mの頂上まで行くとおよそ7時間はかかるというが、ホントにそんなんでたどり着くはきわめて疑わしい。3,000mの8合目までだって5時間もかかったのだ。
乗鞍岳の場合、いろんな人の体験Youtubeを見ても「辛かった」とか「地獄だった」という声は皆無で、確かにかなり楽ちんな登山を楽しめているようだった。
ここなら富士山の疑似体験ができるのではないか。

乗鞍岳へのアクセスは、車の規制をしているのでバスでしか行けない。
このバスが標高2,700mにある乗鞍岳の玄関口、畳平「乗鞍バスターミナル」まで行くのだ。
そしてこのバスターミナルには銀嶺荘と白雲荘というふたつの山小屋がある。
ここから見る星空はまさに満天の星らしい。
うーん見たい!
ご来光も雲海も見たいが、ぜひとも天の川を見てみたいものだ。
Youtube動画で比較検討した結果、この銀嶺荘に予約を入れた。
この山小屋、なんと標高2,700mにしてお風呂と水洗トイレがあるのだ。
実際お風呂はまあ、仕方ないかという広さと古さだったがこの環境で風呂に入れるというのはありがたかった。シャワーは水圧が低すぎてほぼ使い物にならない。
しかし驚いたのは、トイレが水洗というのもスゴイがなんとウォシュレット付きであった。富士山5合目のトイレでも水洗すらなかったのにこれは驚きだった。
さらにあるYoutuberの動画によると、ここの食事がまた豪華だった。肉の陶板焼きだの信州そばだのデザートだのとまるで旅館のような品数たくさんの豪華メニューだった。

今回の交通手段は夜行バスではなく電車だ。
新宿からあずさに乗りまず松本まで。そこから上高地線というローカルワンマン電車に乗り替え約30分で新島々という駅で降りる。
そこからアルピコ交通のバスに乗り約1時間。
「乗鞍高原観光センター」でバスを乗り継ぎ、そこからまた1時間ほどバスに乗る。
そしてようやく畳平(乗鞍バスターミナル)に到着する。日本一高所にあるバスターミナルで、ここですでに高山病になる人もいるそうだ。



この日は15時過ぎに畳平に到着した。
明日の朝ご来光を見て、その後朝食をとってから乗鞍岳の主峰、剣ヶ峰に登ろうと考えてた。
乗鞍岳というのは「乗鞍山」という山があるわけではなく、剣ヶ峰、大黒岳、魔王岳、富士見岳などいくつかの山をまとめた総称を「乗鞍岳」と呼ぶらしい。

時間が半端だったのでこの日は体を高地順応しようと考えた。
確かに空気は薄い。
バスターミナルにあった案内板を見ていると、「魔王岳は夕日、大黒岳はご来光、富士見岳は・・・」とそれぞれの得意のスポットらしきものが書いてあった。しかも剣ヶ峰以外はどれも15分とか30分とかで登れてしまうらしい。
そこで時間も時間なので「今日は壮大な夕日を見てみよう」と思い、15分で行けるという魔王岳に登ってみることにした。登ると言ってもあっという間で、それは山というより丘のようなものだった。
しかしさっきまで晴れていた空はまたたく間にガスに覆われ、夕日どころか前方さえもよく見えない状態になってしまった。



あきらめて宿に戻り、夕食を待った。
あの豪華な夕食が待っているのだろう。
18:00になり食堂へ行った。

「え?」

一体どういうことだ。宿泊客が一列に並んでいて、セルフでカレーと豚汁とサラダをお盆に取り、それぞれの席で食べていた。
一瞬自分が泊まる宿を間違えたのではないかとさえ思った。
しかしここ畳平には宿は2件しかない。両方の動画を見て選んだんだから間違えるはずがなかった。
せめてこれが今までのカレーの常識を覆すような絶品カレーならまだしも、むしろ少しレトルト風味さえあるカレーだった。

つづく






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