第八話 話しは終わらない

隣人トラブル

先週末に我が家に戻ったおれたちは、とりあえず何事も起こらない状態で暮らしていた。
しかし妻は相変わらず呼び鈴の音は恐怖で、家からの出入りも玄関ではなく勝手口を使っているようだ。 それにしても裏のオヤジの家族から何の連絡も来ない。どういうわけだ。

おれは昨日、市役所に電話してみたが、担当者が外出中だった。
そして今日、また連絡したら新たな事実が判明した(ちょっとおおげさ!)。 

「あの、先々週くらいに隣人トラブルの件で相談に行った者ですが」
「ああ、はいはい」
「その後、家族とは連絡がついたんですか?」 
「ええ、一応連絡しましてね、状況は伝えました」 
「先方は何と言っていましたか?」
「いや、特には・・・状況伝えただけですから・・・」 
「・・・あの、私の連絡先は伝えてくれました?」 
「いえ、伝えていません」

はあ?なんで???? 

「今回の件は一応トラブルなので、市役所がこれ以上介入できることでもないので・・・」
「でもこの前の話では、そちらで私の連絡先を(家族に)伝えるけどそこから先は先方次第、と言ってましたよね」
「ただ、トラブルなのでやはり市役所としてもこれ以上はできないのです」 

おお、絵に描いたようなお役所仕事だ。
市民のために働く、なんていう意識はゼロだな。よーし、早速「市長への手紙」攻撃だ。
おれの住んでいる市は、昔から「市長への手紙」という制度があって、前に「駅前が狭くて危険だ」という旨の手紙を送ったら本当に返事が来た。今はEメールで受付ができるようになっているので、帰ったら早速抗議および厳重注意要望を出してやろう。
市民のよりよい暮らしを実現するためにある市役所にこんなサラリーマン的体質の職員を窓口に置かれては迷惑だ。いや、これは失言だった。サラリーマンだって一部を除けばちゃんと会社の利益のために働いているはずだ。おれだってサラリーマンだもんな。
ちょっと前に市長選があって、今は新しい市長になったばかりだ。早速市民からの要望だ。 
さて、話を戻すと、おれが家族と接触するにはやはり警察を介さないとならないようだ。
さて、妻が何と言うか。

つづく

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