第五話 病気じゃない??

隣人トラブル

高校時代の戦友から
「市役所の職員が面談に行ったのなら、面談記録が残っているはずだ。それを証拠として写しをもらっておくといい」
とアドバイスがあった。 おれは早速市役所に電話した。
「ああ、ありますよ。だけどこれは業務上、知りえた情報、ということになるのでお見せするわけには行きません。個人情報保護法に抵触します」 
ああ、そりゃそうかもしれない。おれも仕事上、外部から「参加者のリストが欲しい」と言われればほぼ同じようなセリフで断っている。 
「一応、刑事告訴しようと考えています」
「そうですか」
 市役所はあくまでも事務的でそれ以上の反応はしなかった。
しかし告訴してみたものの、病気であれば「責任能力なし」、あるいは「支払い能力なし」と判断されてしまうかもしれない。しかしそもそも我々の目的は賠償金を払ってもらうことではなく、裏の家からいなくなってもらうことだ。損害賠償金もらってもそこにい続けられたら何の解決にもならない。たとえ捕まって2週間くらい拘留されても、執行猶予でまたすぐに戻ってこられては意味がないのだ。

つまり当初の目的どおり、その家族と話をしなければならない。市役所の人が情報を出さないのであれば、肉親の良心を信じて連絡を待つしかない。しかし連絡が来る可能性は全く読めない。であればやはりある程度ことを大きくした方がいいのだろうか。

友人は弁護士を紹介するといってたが、その費用は実際どれくらいするのだろうか。「弁護士は高い」とはよく聞くが、具体的にはどれくらい高いものなのか全く見当もつかない。そこでインターネットで調べていくと、日本弁護士連合会が「市民のための弁護士報酬の目安」という資料を公開していた。
さっそくダウンロードしてみると・・・確かに高い。
着手金だけで最新のブルーレイディスクレコーダーが買えてしまう。最新のノートパソコンだって買えてしまう金額だ。勝訴して慰謝料でももらえるならいいが、「支払い能力なし」「責任能力なし」となったら数十万円が吹っ飛びそうだ。経済的にもかなりの痛手を被る。これでは裁判ビンボーになってしまう。 うーん、弁護士は保留だな。

そんな中、新たな情報が入ってきた。
これは近所のママ友からの情報だが、裏のオヤジの向かいの家でも過去、被害にあったそうだ。駐車場からバックで出る必要があるためミラーを取り付けたらそれが気に入らなかったらしく、そのときはドライバーを手に脅しに行ったようだ。午前中の出来事だったので旦那もいなく、奥さんは怖かったから「すいませんすいません」と謝ってその場を収めたというが、また聞きなので詳細はわからない。当然旦那は帰ってきてからその話しを聞いただろうが、何もアクションをしなかったのだろうか。あるいは「そういう人はどこに行っても一人や二人、いるものだ」と達観しているのだろうか。そしてこのオヤジは昔から気に入らないことがあるとイチャモンをつける、そういうやつだったという話しも出てきた。じゃあこれは病気じゃなくて、性格の問題なのか。そう考えると市役所の人に淡々と答えているというのも納得できる。病気でなく分かってやっているならなおさら法的手続きに入る意味が出てきた。
ところが事態は妙な展開になっていく。 

つづく

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