今年の日本アカデミー賞のグランプリがなんと『新聞記者』!
これは大ニュースと言える。最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(松坂桃李)、最優秀主演女優賞(シム・ウンギョン)の3冠を制した。
この映画、実はずっと見ようと思っていてついつい後回しになり、昨年秋にぎりぎり吉祥寺の定員約30名くらいの小さなシアターで滑り込みで見たのだった。
東京新聞の望月衣塑子記者原作の映画で主人公の望月衣塑子役は日本では誰も引き受ける女優がいなくて韓国のなんとかっていう人が演じた。内容としてはそれほど危険なテーマだったのだろう。加計学園から内閣調査府の暗躍など、まさに今、目の前で起きていることをそのまま映画化してしまったのだ。現在の日本の状況を考えればこの映画が製作され、全国で上映されたこと自体奇跡かもしれない。主役をやればそれでもう女優生命が断たれてしまう可能性は100%かも知れない。しかし男優ではなんと松坂桃季が起用され、見事に演じきった。よく引き受けたものだし、演技も素晴らしかった。
当然いろんな方面から圧力もあったのだろう。ネットの世界以外ではほとんど宣伝が前に出てこないようだったので、ひっそりと上映されてひっそりと消えていくんだろうと思っていたら、現実にはこの映画の反響は私の想像をはるかに超えていた。
これもwikipediaに出ていたのだが、それによると2019年6月28日に全国143館で公開され、最初の週末で全国映画動員ランキング初登場第10位となり、7月22日までに累計で観客動員数33万人、興行収入4億円を突破したそうだ。
で、なんか賞もすごいたくさん取っていた。
第11回TAMA映画賞では
・特別賞(藤井道人監督、及びスタッフ・キャスト一同)
・最優秀新進女優賞(シム・ウンギョン)
2019年度新藤兼人賞では
・プロデューサー賞(河村光庸)
第32回日刊スポーツ映画大賞では
・作品賞
2020年 エランドール賞では
特別賞(製作チーム)
第74回毎日映画コンクールでは
日本映画優秀賞
女優主演賞(シム・ウンギョン)
なんかすごいじゃないか。これならもっと話題になってもよさそうだがこれも圧力がかかって話題にさせなかったのだろうか。あらすじをWikipediaからそのまま転載するとこんな感じだ。
「ジャーナリストの父親が誤報のために自殺した東都新聞社会部の若手女性記者・吉岡エリカは、総理大臣官邸における記者会見でただ1人鋭い質問を繰り返し、官邸への遠慮が蔓延する記者クラブの中で厄介者扱いされ、社内でも異端視されていた。
そんなある日、吉岡は上司の陣野から大学新設計画に関する調査を任される。極秘情報が記された匿名のファックスが社会部に届いたためだ。彼女が調査を進めた結果、内閣府の神崎という人物が浮上してくるが、その矢先、神崎は自殺してしまう。
神崎の死に疑問を抱いた吉岡はその調査の過程で、内閣情報調査室の若手エリート官僚・杉原拓海と巡り会うが、彼は現政権に不都合なニュースをコントロールする立場でありながら、神崎の死に疑問を持っていた。神崎は彼の元上司だったのだ。立場の違いを超えて調査を進める2人の前に、ある事実が明らかになる。」Wikipediaより
まさに主人公は東京新聞の望月記者。内容は森友学園と加計学園、そしてこの件で自殺に追い込まれた財務省近畿財務局職員の話だ。これを今、映画化してしまったのもスゴイことだと思うが話はこれで終わらない。この続編とも原作ともいえる「i-新聞記者ドキュメント-」が11月に公開されたのだ。
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