人工知能が感情を持つ日 『her/世界でひとつの彼女』

映画の部屋

予告編につられて見てしまった。
『her/世界でひとつの彼女』。アカデミー賞脚本賞も受賞しているらしい。

妻と別居して離婚寸前の孤独な男が、新発売の人工知能のOSシステムに恋してしまうといういかにもありそうな話だ。
主人公がまるでのび太がそのまま大人になったような男で、見ていてじれったくイライラするがAIの女性”サマンサ“の声が『ルーシー』の主役をやったスカーレット・ヨハンソンだった。
これなら確かに世の男は簡単に恋に落ちるだろう。
なんといっても最新式人工知能のOSシステムなので会話もSiriやアレクサとのとはわけが違う。

あながち絵空事とも思えないのが、人工知能がどんどん学習して進化を続け、やがて「感情」を持つようになる、という部分で、これって近未来ではあっても不思議ではないんじゃないか。
今までの映画や小説でよくあるパターンでは、ロボットが暴走して反乱するのもたいていAIが勝手に自分で物事を判断するようになるのがストーリーとしてはお約束だった。

今回の映画では暴走して反乱を起こすのではなく、AIが恋愛感情を持つように学習し、進化するところだ。しかしどう願っても肉体は無い。いくらAIでも肉体は作れない。
ストーリーは結局まあこんなところだろうという結末を迎えるのだが、どうせアメリカ映画なんだからもうちょっと無理な展開にもっていってほしかった。
メッセージとするところはヒューマンドラマ的情緒だったかもしれないが、個人的にはもっとSF的要素を取り入れても良かったんじゃないのか、とも思う。
というかそういう娯楽作品を期待していたのだ。
「そんなのあるわけないじゃん!」という展開で行ってほしかった。

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