「生きたまま生まれ変わる」パワースポット出羽三山(山形)

パワースポット

「生きたまま生まれ変わる」
なんとも神秘的ではないか。

山形県鶴岡市にある三つの霊山「出羽三山」のキャッチフレーズだ。


羽黒山:過去
月山:現在
湯殿山:未来

を表しており、山伏たちの修練の場でもあるらしい。
我々一般人もこの順番で参拝することによって「生まれ変わりの旅」になるのだという。

3年前から精力的にパワースポットを精力的に回ってきたが、京都はもう何回も行ったので次なる場所はと考えたとき、次は北へ行ってもいいかも知れないと思っていたのだ。

羽黒山は標高的には600mほどだが2446段の階段が有名で、登山というよりはこの階段を登りきることに意味があるようだ。しかし京都の稲荷伏見大社の無限階段を経験した私にとって、たかだか2446段、恐れるに足りずだろう。



月山は標高1800m超えで、それなりの登山になるらしいが、2年前に富士山を制覇した私にとっては余裕だろう。

そして湯殿山。ここも「山」とはいえ、標高は400mくらいで、シャトルバスだかで近くまで行ってしまうらしいのでいわゆる「山登り」ではないらしいが、「湯殿山で見聞きしたことは決して喋ってはならぬ。撮影も一切禁止」というのがルールで、それだけで神秘的なスピ系の世界を感じさせる。


仕事がピークだった夏場を終え、2日間有休をとり、山形での「生まれ変わりの旅」に出かけたのだった。
もちろん今回も行きは夜行バスを使った。

山形県の「庄内交通」という会社が毎日東京⇔山形間の深夜バスを運行していた。
京都や大阪など関西方面に行く夜行バスなら今までにもいろいろなバス会社のを試したが、庄内交通の3列シートの山形行き夜行バスは間違いなく快適度No.1だった。

まずシート自体が広く、クッション性もいい。前席との間も十分。そして特筆すべきはリクライニング時だ。
座席自体もかなりの角度で倒せるが、前席がフルリクライニングしてきても寝返りが打てるほど余裕がある。

以前京都から乗ったVIPライナーという夜行バスは、乗務員が「今から消灯しますので全席フルリクライニングしてください」とアナウンスする。
これは後ろの人に気兼ねしなくていいなと思ってフルリクライニングにした。
当然自分の前の人も席を倒してくる。するともう前席の背もたれに自分の胸辺りまでが挟まれた状態で、寝返りどころかほぼ身動きできない状態になる。足元にあったドリンクホルダーなんて全く手が届かない。
こんな状態で朝までいなければならないのかと驚いた。
おそらく閉所恐怖症の人には耐えられないだろう。
一回あの挟まれた状態を経験したら普通次は乗らないだろうと思うのだが、このバスは今でも普通に東京⇔関西間を行き来してるからそれなりに利用者がいるのだろう。

そんな快適な夜行バスで朝5時過ぎに鶴岡駅に到着した。
今回は駅近くのビジネスホテルに2泊とっている。
今回の計画では
初日、夜行バスで疲れが残っているだろうから羽黒山へ、2日目はしっかり休養できただろうと想定し、月山への登山、3日目に湯殿山と出羽三山参拝ルールにのっとって、湯殿山の後は新幹線で快適に帰ろうという計画だった。
まさに理想的な行動計画だった。
しかし直前で、「湯殿山へは行けない」ということが発覚した。


湯殿山へ行くにはマイカーか「観光タクシー」というもので行くしか手段は無いらしく、その「観光タクシー」というのも運行期間は11月までと書いてあるくせに「予算額になりましたので終了しました」とホームページに書かれてあった。
「予算額に」というところからして意味不明だが、とにかくもう今年の運行は無し、ということらしい。

であれば初日に羽黒山、2日目に月山、3日目はゆっくり電車で帰ろう。

と考えていた矢先、Yahoo天気によると、2日目に雨になる可能性がかなり高いことが分かってきた。
初日と3日目は完全に晴れ。
2日目だけが曇りのち雨(降水確率70%)。

月山はほぼ登山級の山だし、雨の中の山登りというのもそれはそれで気持ちもなえる。
そこで本当はあまり推奨はされないのだろうが、初日を月山、3日目を羽黒山と順番を逆に変更した。

ビジネスホテルに荷物を預け、登山用の格好に着替え、そのまま鶴岡駅に向かった。

乗るべきバス停はすぐに見つかった。
前もってバス乗り場や時刻もホームページやChat GPTで調べておいたのだ。
出発までまだ1時間くらいある。
朝5時の鶴岡駅は人も車もいない静寂そのものだった。

何気にバス停にある時刻表を見ていて、「おや?」と思った。

「え?」
・・・
「ええー!」
鶴岡駅から羽黒山経由、月山8合目まで行くバスは、シーズン中は朝2本出ることになっていて、そこは青字で分かりやすくなっている。
それはホームページにもあったので確認済み、のはずだった。


問題はその下だ。



なんと月山まで行くバスは土日祝日しか運行していないと書いてあるではないか!

今日は木曜日。
つまり次に出るのは土曜日。
東京に帰る日だ。

月山に登ってその日に帰るなんてことが果たして可能だろうか。
Chat GPTに聞いてみた。
答えは「極めて難しい」ということだった。

まず月山に行くのに鶴岡駅から2時間かかる。朝一のバスで行ったとして8時到着。
月山の登山に要する時間は往復でおよそ5時間らしいが、これは自分の経験から言って6時間以上はかかると見たほうがいい。
月山8合目から帰りのバスは13:10発と15:45分発しかない。
13:00台なんて間に合うはずがない。
15:45発に乗ったとして、鶴岡駅に着くのは17:45。
そこから新潟駅まで鈍行で約3時間、新潟から東京まで約1時間半。
自宅につくのは夜の12時近くになる。

確かに現実的とは言えない。

それにしても鶴岡市においておそらく最もウリであるはずの出羽三山、その月山に土日祝日しか行けないというのは、一体鶴岡市の観光課はどう考えているのか。
駅前にある観光センターのお姉ちゃんに聞いてみた。

「東京から夜行バスで今日着いたんですけど、月山行きのバスは土日祝日しか出てないそうじゃないですか」
「そうなんですよ・・・」
「でも普通、県外の人は空いてる平日を狙ってくる人、多いんじゃないですか?」
「そうですねえ・・・」
「でも平日来ても行けないですよね。あそこにも”月山へ行こう!”なんてポスター貼ってあるけど、行けないですよね」


「平日であればレンタカーかタクシーでないと・・・」
「いったいいくらかかるんですか」
「タクシーだと片道1万円は超えるかと・・・」
「湯殿山なんて、タクシーも行かないんだからもはやたどり着くこと、不可能ですよね」
「庄内交通さんも毎年いろいろ考えてはいるようなんですが、今年は終了なんですよ」

まあこの人を責めてもどうにもならないのは分かっている。
しかし、それではまた来年、あらためて土日のスケジュールを立てて再び月山を目指すか・・・と言われれば、それはないだろう。

なぜなら土日祝日しかバスがないということは、当然みんなそのバス目指して来るはずだ。

朝は6時台と7時台にそれぞれ1本しか出てない。
鶴岡駅から月山8合目まで2時間かかる。
座れる保証もない。
それは帰りも同じだ。
帰りに至っては4時台に1本しか出てない。
ほとんどの登山者はこれに乗ろうとするだろう。

ありえない・・・。

これはもう、「自分は出羽三山に呼ばれてない」と理解するべきだろうか。
それにしても鶴岡市、今これだけスピリチュアルがブームになっていて、「出羽三山」といったら山形県の中でも世界中のスピ大好き人間たちにPRできる強力な観光資源のはずだ。
そこへのアクセスをわざわざ狭めるとはいったいどういうことだ。
観光課の責任者はどういう認識なのだ。
山形県もこのまま放置していいのか。

「いや、出羽三山はただの観光地ではなく、選ばれた人だけがたどり着くことができる聖地であって、そもそも観光気分で来るようなところではないんです」
というのであればまた話は変わってくるのだが・・・。



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