もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

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『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 』(ダイヤモンド社)、通称「もしドラ」が話題なので、アニメ雑誌のような表紙は恥ずかしかったが買ってみた。ピーター・ドラッカーのマネジメント理論をむりやり高校野球部というシチュエーションにあてはめたので、言いたいことは分からないでもないがストーリー的にはかなり無理がある。

おれの大学の大学時代の後輩はこの本を読んで涙が出たそうだが、おれにはその感涙ポイントはいまいちよく分からなかった。泣くのであれば景山民夫の「遠い海から来たCoo」のほうが確実に泣ける。映画「南極物語」の予告編のほうが絶対泣ける。武田鉄矢の『刑事物語2~りんごの詩』もかなり泣けた。

しかしダイヤモンド社の商売というのは、「上手い」と言うべきなのだろうか。「もしドラ」が出た直後に「週刊ダイヤモンド」でその特集を組む。するとこれを買った人が「もしドラ」を読んでみたくなったり、あるいは「もしドラ」を持っている人が追加情報があるのではと、「週刊ダイヤモンド」を買うのでたちまち売り切れ店続出になる。おれも買ってしまった。

本も週刊誌も両方売れるという、マーケティングとしては絵に描いたような必勝方程式だ。ああ、だからやっぱり上手いのかな。

以前、同じくダイヤモンド社は神田昌典・著の『全脳思考』という本を出版した。2,100円もする本だったが、初期の神田理論に目にウロコ的なものを感じたおれは久々の神田本につい手が出てしまった。

本の内容はどうだったかと言うと、全盛期の神田ブームのときの勢いはすっかり薄れ、焼き直しの焼き直しでなんとか分厚い本にした、という感じで、実は半分くらい読んでやめてしまった。

その少し後、週刊ダイヤモンドは「全脳思考」の本の大特集をやった。「全脳思考を会社で実際にやってみた」などの見出しが躍っていた。おれはまんまと乗せられてこの号も買ってしまった。しかし週刊ダイヤモンドのその特集内容は金返せモンで、二度と週刊ダイヤモンドなんか買うもんかと思った。

まあそれはいい。

ちょうど2003年の今頃、おれは成り行き上、望まずして小さな部署の上司になってしまった。でもその時はせいぜい6人くらいの部署で、しかもメンバーは後輩達だったので特に「組織論」も「マネジメント」というような大げさなものも意識しなくても回っていた。

ところがその後、新規プロジェクトを作ったり既存プロジェクトの規模拡大にあわせて中途採用で人を入れることになったが、そこでおれは初めて「マネジメント」の難しさを知った。

何かの本で、「無能なリーダーや経営者は自分より劣った人間しか採用しない。だからそういう会社には優秀な人材が集まらず、その会社はいつまでたっても大きくなれない」と書いてあった。なるほどと思った。

新米マネージャーとなったおれはすぐに影響されて、自分よりも賢そうな人間ばかりを選んで採用した。

今思えば、面接とは雇う側と雇われる側の騙し合いの場で、履歴書など全くあてにならない。実際の面談ですら、ほとんどの人はウソか誇大表現しか使ってこないので、3掛けくらいで聞かなければならない。

そもそも20分や30分の面接で何が分かるというのだ。

いろいろ想像しても分からないので、自分の直感に従う事にした。しかし一連の面接を通して、自分の人を見る目のなさに自分で驚いた。『迷ったときは直感に従えば間違いない』なんて、誰が言ったか知らないが嘘っぱちだ。

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