転職日記|業界新聞の面接…②

社畜日記

JRの神田駅から10分ほど歩いたところにその会社はあった。
ビルの6Fと7Fを使っており、おれはまず「受付」と書いてあった6Fに行った。
エレベーターを降りると別にそこに受付があるわけではなかった。
オフィスに入っていくと、人はまばらでまったりと自分の世界の仕事をしているようだった。おれが入っていっても誰も気に留めるでもない。
「あの~すいません、面接できたのですが・・・」
すると近くにいた女が困ったような顔をして
「あ、ちょっと待ってくださいね」と言い残したまま誰かに何かを聞きに行った。
戻ってくると
「こちらへ・・・」
と言って7階に案内された。
7階には誰もいなかった。
広い円卓テーブルでしばらく待っていると、男が一人入ってきた。歳は40歳くらい、イメージ的には「主任」という感じか。まずはこの人に好印象を与えて1次面接を突破し、次に部長か社長面接だな、と思った。
「さて、話しを聞きましょうか」
おお、なんというアバウトなとっかかりだ。
そこでおれは何故転職を考えたか、なぜこの会社に面接に来たのかなどを熱意を持って語った。
「今まで転職歴はないんですね。我が社でもやはり3年5年と腰を据えてやってもらえる人を望んでいるのですよ。ちなみに給料はどれくらいほしいんですか」
「いや、未経験なんで、多くは望みませんが、現状維持が出来ればうれしいです」
「まあそう言わずに、希望の額を教えてくださいよ」
こういう話は社長とか役員相手にしなければ意味がないと思ったが、しつこく聞かれるので思っていることを言った。
「今、手取りでこれくらいもらっているのですが、相場的には自分の年齢だとこれくらいが標準らしいので、その標準に近づけば・・・」
「ということは税込でいくらくらいなのかなぁ」
「今、税金でこれくらい引かれているから、税込だとこれくらいになるんじゃないですかねぇ」
「ああ、問題ないでしょう。あなたぐらいの年代で、女性でもやっぱり仕事を出来る人はかなり(給料)とってますからね」
いいのかあんたが勝手にそんなこと言っちゃって。
「来るとなれば、いつから来れますか」
「これから会社には言うので、だいたい引き継ぎに1ヶ月くらい、とすると3月ぐらいからということになると思います」
「よく分かりました。後日あらためて連絡させますが、(入社の)心づもりしていて結構ですよ」
だからあんたがそこまで勝手に決めちゃっていいのかよ。上司とかに全然相談もなしに決めちゃっていいのかよ。あるいはこの人が上層部を説得してくれるのだろうか。

そしてその1週間後、正式に採用通知が来た。
改めて会社に出向くようにとの話があり、また土曜日に出かけていった。
そこで初めてこの面接の男は主任ではなく社長であることを知ったのだった。

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