ヘミシンクは世紀の大発見か、世紀の大妄想か、単なるスピリチュアルごっこか

スピリチュアル

たまたま新聞の書籍広告で気になった本があり、高かったが買ってしまった。
『対外離脱するサラリーマン』という本で、出版社に勤めるサラリーマンが独学でヘミシンクを学び、自分や他人のガイド(守護霊)と会話をしてさまざまなアドバイスや知恵をもらいながらシアワセな日々を送っている、というような説明書きがあったと思う。

 ヘミシンクを日本に広めたエンジニアの坂本政道氏が書いた『死後体験』という本を数年前にAmazonのマーケットプレイス(要するに中古)で買って読み始めたものの、読み進めるうちにだんだんばかばかしくなり、おれの中のガイドは「ハ・ズ・レ」とささやいた。
3分の1読んだくらいですぐにおれもAmazonマーケットプレイスに出して売ってしまった。
だからヘミシンクは信用していなかったが、「サラリーマンがCD学習で対外離脱できるようになり~」と言われると、ちょっと話しを聞いてみたくなる。

あ、ヘミシンクを知らない人もいるのだろうか。まあいても全然不思議じゃないしむしろその方が健全かもしれない。でも一応調べてみたら、なんとウィキペディアにも載ってるではないか。

※以下抜粋
ロバート・モンロー(英: Robert Monroe, 1915年10月30日 – 1995年3月17日) はアメリカ合衆国の超心理学者、変性意識状態(体外離脱体験)の研究におけるパイオニアで、モンロー研究所の創設者。
ヘミシンクと呼ばれる音響技術を開発する。ヘミシンクとは左右耳から波長がわずかに異なる音を聞くと右脳と左脳の脳波が同調することである。ヘッドフォンから聞こえてくる音と瞑想の指示を使い、脳波を変更することで達成される。原理はバイノーラルビートという音響技術(うなりの技術)に基づいている。
バージニア州シャーロッツビル郊外にあるモンロー研究所に滞在すれば、守護霊と対話したり、死者の魂を救出したり、透視やスプーン曲げなどの超能力を使ったり、宇宙旅行にいったりするなど超常現象体験を目的とした各種の滞在型プログラムに参加することができると主張する。

これってバブルの時代にリラクゼーションサロンがはやって、そこでパイオニアのボディソニックの椅子がずらっと並べられてそのカプセル椅子に座ってちかちか点滅するゴーグルをかけてリラクゼーションミュージックを聴く、というのにそっくりじゃないか。
当時、おれは今の職場に転職したばかりで、まさにストレスが服を着ているような状態だった。
そんな中でたまたま取材で訪れたリラクゼーションサロンでこれを体験したのだが、まさに至福のひと時だった。

このチカチカゴーグルはアメリカ製で、「シンクロエナジャイザー」といった。この体験は、別に対外離脱はしなかったがその気持ち良さは、それはそれで衝撃的だった。
おれはなんとしてもシンクロエナザイジャーとボディソニックのいすが欲しくなった。
当時、シンクロエナザイジャーは東急ハンズやロフトで売っていた。おれは渋谷のロフトですぐにこれをゲットした。たしか2万いくらかだったと思う。
次はボディソニックだ。しかしこれも当時は数十万円するしろものだった。
さすがにこれには手が出ない。と思っていたら、同じくパイオニアから5万円の廉価版が発売された。
おれは妻に内緒で勝手に注文した。
日曜日にこれが届くと、さすがに妻は怒ったが、おれのストレスはそんな妻の怒りの比ではないほど巨大化していた。これはもうおれの生命維持にかかわる最優先購入案件だったのだ。
さらにやはり取材先のヒーリングCDを販売しているメーカーから、これに合うCDを格安で売ってもらった。完璧だ!!

このパーフェクトセットはさすがにここまでやればかなりの再現力でリラクゼーションサロンと同じような機能を感じた。しかしいちいちコードをつなげたりするセッティングがなんとも面倒くさい。
案の定、次第に使う頻度が減り、やがてボディソニックの椅子は中古専門「HARD OFF」に売られていった。シンクロエナザイジャーはどこへ行ったのだろう。

おっと、ものすごく話が脱線してしまった。
『対外離脱するサラリーマン』は書店になかったのでアマゾンで新品を買ってしまったが、読み進めるうちにまたしても「またハ・ズ・レ」とおれのガイドはささやいた。
一体なんなんだ、このヘミシンクってのは!

この本によると、著者は市販されているCDの教材をコツコツやったところ体外離脱ができるようになった。CDを聴きながらF-15とかF-10(これもよく意味が分からない。周波数だろうか)とかのレベルにフォーカスすると、ガイド(守護霊、指導霊など)が出てくる、その人の指示に従っていろいろな人の過去生を見せてもらった、という。

おれはこの手の話には相当寛容なほうだと自負しているが、それにしてもあんまりだ。
カニ星人のガイドだのタヌキのガイドだの人魚姫だの、お前いい加減にしとけよとだんだん腹が立ってきた。
過去生を見に行くのはその人の「部屋」の扉を開けると見えてくる、という。これを妄想と言わずになんと言うのだろう。
ああ、おれはなんという無駄な買い物をしてしまったのだろう。
頭にきたから早速こんな本、アマゾンに売りに出してしまおう。

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