まさかの自転車転倒

エッセイ

土曜日の午後5時50分、おれはいつものように自転車で近所のテニススクールに向かっていた。
家から8分くらいのところにあるが、天気予報では夜から雨になると言っていたので念のため傘を持っていくことにした。
危ないので傘の柄のほうをかごに乗せ、先の部分は自分を突き刺さないように注意した。
この時期、もう6時近くでは十分夜の暗さだ。

走り出してわずか300mくらい走ったところでおれは突然自転車から放り出されて地面に落ちた。
傘が前輪のスポークの間に挟まって前輪がロックされ、そのまま前のめりにひっくり返ったのだ。
まさに「あっ!」と思う間もなくという感じだ。あわててブレーキをかけたがそれよりも後輪が持ち上がるほうが早かった。
そのまま慣性の法則に従いおれは前のめりに落ちていった(のだろう)。
この時の記憶としては、頭というか顔半分を地面にこすりつけられた感覚で体にはわけのわからない衝撃があった。
そして次の認識は地面にあおむけに倒れている自分だった。
おれはとんでもない事故にあったと思った。
おそらく頭部から顔半分は血だらけになっているんじゃないか。
体はどこがどうなったか分からないが、大けがをしてると思った。
大変なことになった!!!!

しばしの静寂・・・。
通行人も、音に驚いて外に出てくる人もいない。
・・・。

おれは少し体を動かしてみた。
どこかがとても痛いようだが動く。
自転車がおれの上に乗っかっていた。自転車をずらすと、買ったばかりの新品ラケットがおれの下敷きになっていた。ほんの数日前に楽天ポイントを使って7500円でゲットしたラケットだった。
これはもう折れてしまったんだろうと思った。せっかく買ったのに・・・。
ようやく体を起こし、おれは自分の側頭部を触ってみた。
激しく地面にこすられて髪の毛もごっそり削られてると思ったが、一応ちゃんと残ってる。
特に流血も無いようだ。
近くに持ち手の部分が折れた傘が転がっていた。
「これが引っかかったのか。しかしなぜ・・・」
推測するに、本来は持ち手の部分をかご側に入れているのだから下にすり抜けるはずはないのだが、
バッグが押したか何かしてかごの網と網の間をすり抜けて下にずれ、それがスポークに引っかかったんだろう。
おれの上にかぶさっている自転車をどけ、立ち上がった。
特にどこかを骨折しているようでもなかった。
自転車を起こし、道路の脇に寄せようとしたら動かない。
前輪の泥よけの部分がひん曲がり、タイヤに食い込んでいた。
おれはその部分を何度か蹴ってとりあえずタイヤと泥よけの間に隙間を作り、
タイヤが回るようにした。
散乱した荷物をバッグに入れ直し、おれはよろよろと家に戻った。

「自転車壊れたからおかあの貸して」
とおれは妻の自転車のキーをとった。
「どうしたの!」
「ひっくり返った。自転車動かない」
と、おれは折れた傘を渡した。
「行くの!?休みなよ!」
「大丈夫だよ」

その後、おれは少し遅れてテニススクールに行った。
幸いラケットは折れてはいなかったがでっかい傷が付いていた。
途中でめまいや吐き気があったらやばいと思ったがそれはなかった。
まだアドレナリンが体中に噴出していたので痛みはよく分からなかった。

2時間後、家に帰って改めて確認すると、右足のすねがはれ上がり、左ももに大きなすり傷と打撲の跡があった。
さらに左肩にも打撲、口の中も少し切れてた。
左側頭部はやはり打ったようで、触ると内出血のように痛んだ。
同時に左耳の耳たぶもじんじん痛む。

翌日は体中がきしんだが少年野球の手伝いに行った。
夕方終わるころにはどっぷり疲れ果て、もう何をする気も起らずに7時に布団に入ってしまった。
さらに翌日、体はさらにきしんだ。

新品のラケットがあっさり傷がついたことはショックだったが、アスファルトの上に放り出されて打撲で済んだ幸運を喜ぶべきだろう。

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