大人こそ読むべき『はだしのゲン』

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ちょっと前に、と言っても数年前だが松江市や鳥取市や泉佐野市で図書館や小学校の図書室に『はだしのゲン』を置くのは教育上、良くない、と大バカ発言した連中がいて、当たり前だがそのクレームはことごとく却下されたわけだが、私の息子の小学校の図書室には全巻揃っているそうだ。よかったまともな学校で。
んで、息子がその第1巻を借りてきて読んでいた。息子は4年生だが、何も言われてないのに自分でこういう本を借りてくるとはさすが我が子!と思ったが、おそらく内容は半分も理解していないのだろう。
なぜなら自分もそうだったから。

もともとは少年ジャンプに連載されていたもので、おそらく私はこれをリアルタイムで読んでいたんだと思う。
ウィキペディアで調べると、私がリアルタイムで読んでいたとしたらちょうど息子と同じぐらいの年齢だったはずだ。当時の少年ジャンプと言えば「荒野の少年イサム」とか「トイレット博士」なんかが全盛期だったと思うが、その中で「はだしのゲン」は異彩を放っていたんだと思う。

改めて第1巻から読み進めていくと、意外なほどに覚えている。「あ、ここ読んだ」というのが遠い昔とは思えないほど鮮明に覚えている。しかし当時おそらく4~5年生だった私は、そこに描かれている反戦思想など分かるはずもなく、ただの漫画としてしかとらえられていなかった。かなり感受性の鈍い子供だったのだろう。

第1巻は終戦間近、広島に原爆が落とされるまでの話だ。今読むと、読んでるだけでトラウマになりそうな内容だ。
第2巻は原爆が落とされたところから始まる。油断していると涙がこぼれる内容だ。これを電車の中で読むのは危険だ。
子供のころは単なる漫画にすぎなかったが、さすがにこの歳になって読むと戦争の悲惨さがひしと伝わってくる衝撃の書だ。漫画でこれだけのリアリティがあるのだからこの現場に実際に居合わせた人たち、その地獄図絵を実際に目撃した時の衝撃たるや、当然だが我々の想像をはるかに超えているはずだ。


今、ネットで検索すると【閲覧注意】としながらも当時の画像が残っている。この時代を生きた人たち、単なる「不運」という言葉ではとても片づけられない。そしてこれは米国による紛れもない「無差別大量虐殺」でありドイツがおこなったホロコーストと何ら変わりはない。なぜ原爆投下を指示したトルーマン大統領は裁かれないのか。原爆を使用した米国にヒットラーを非難する資格がどこにあるのだろう。

今、日本は特定秘密法や集団的自衛権など一連の戦争法でキナ臭い道へ進もうとしている。今度の防衛大臣なんかは「戦争は人間の霊魂進化にとって最高の宗教的行事」とかわけのわからないトンデモ発言をしている。
戦争を知らなくて、なおかつ想像力が絶望的に欠けている奴らが国を戦争に向かわせようと画策する。なぜか。たぶん軍需産業は儲かるからだろう。冗談じゃない。今も世界各地で紛争、戦争が行われているが、犠牲になるのはいつも民間人だ。戦争孤児が今、まさにこの瞬間にも生み出されている。こんな悲劇がほかにあるだろうか。
「はだしのゲン」は義務教育の教材として全巻読破を義務付けるべきだ。
夏休みの宿題にして読書感想文を書かせよう。
そんなことを考える教師はいないのか。あるいはそんなことを言ったらたちまちどこかから圧力がかかって言えないのか。

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