『前世療法』-ブライアン・ワイス博士

スピリチュアル

退行催眠と言えば『前世療法』だ。
これを読んだのはもう20年以上も前だが、かなりの衝撃を受けたのを覚えている。
立花隆のノンフィクション『臨死体験』なども優れたノンフィクションだが、精神科医、ブライアン・L・ワイス博士の自分の地位が全て崩れることを覚悟で書いたこの本は賞賛に値する。またその内容も「やっぱりそうだったのか・・・」の連続だ。

退行催眠自体は精神医療の分野では特に珍しいものではなく、水を怖がる人を催眠術で記憶を戻し、小さい頃おぼれた記憶が思い出すと、それ以降は水が平気になる、という類のものだ。
ワイス博士の場合、どうしても良くならない患者がいて、「あなたの原因となった時まで戻りなさい」と指示すると、その患者が前世において洪水で死んだ過程を詳しく語りだしたことに始まる。
博士はもちろんバリバリの科学者、正統派のサイエンティストなので初めは患者の前世話など信じてはいなかったようだ。しかしそれもある段階まで来ると、もう否定のしようがなくなってしまった。

否定しようがないものと言えば、シンガーソングライターの小椋佳のお母さん(祖母だったか?)は霊媒師だそうで、小椋佳は子供の頃から霊がのり移っていろんなことを喋ったりするのを間近で見ていたので、「もはや信じる信じないの話しではない」と以前ラジオで言っていた。

私も精神的に弱っていたとき、また未来に理由もなく不安を抱いていた時期、自分の前世というものに興味を持ったことがある。

自分の前世は何者だったのだろう。
どんなことをしてきたのだろう。

そういえば通販で退行催眠の誘導テープも買ったことがある。
これは友人にダビングして渡したが、おれもそいつもついに前世をかいま見ることはなかった。
しかし今、冷静になって考えたとき、深刻なトラウマ解消などの具体的目的がない限り、人が前世を思い出すのは全く無意味であるとほぼ確信している。
興味としてはもちろん覗いてみたい気もするが、それがどういうものであれ、今さらどうにもならないからだ。
仮に戦時中、自分は兵隊で他国に行って罪もない一般市民や子供たちを大虐殺した、なんていうビジョンが見えてしまったらそれこそトラウマになってしまうだろう。
第一垣間見た「前世」が真実かどうかなんて誰にも分からないのだ。
本当かどうかも分からないことで一喜一憂するほど滑稽なことはない。
自分としては当然前世というものを信じているが、人は生まれるときにそれまでの記憶が全て初期化(消去)されて生まれ出る。それはおそらくその方が今世を生きていくうえで都合がいいからだと思っている。無理に思い出す必要などないのだろう。

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