今年のパワースポットの締めとして11月に三峯神社の奥宮へ行った、つもりだったが、
ここにきて欲が出て、「もう一か所どこかに行っておきたい」という気持ちがわいてきた。
かといってもう12月だし、あまり遠くへ行くのはちょっと億劫だった。
最初はまた奈良へでも行ってしまおうかと考えたが、夜行バスの料金がいつもの2倍近くに跳ね上がっていたのでやめた。
次に目を付けたのが山梨県甲府にある「昇仙峡」だ。
もちろん神社ではないが、山梨と言えば水晶。
水晶と言えば最強のパワーストーンだ。
もちろんこれは昇仙峡のPRにも使われている文言で、ホームページなどでは「パワースポット」だと喧伝している。
ローケーションが甲府駅からバスでわずか30分というのもいい。
いくつかのモデルコースが紹介されており、一番長い「トレッキングコース」を選んでも片道1時間半だった。
乗鞍岳の片道1時間半は心が折れそうなくらいかなり過酷だったが、昇仙峡は別に登山道でもないだろうから余裕だな。ということで、今年最後のパワースポットは昇仙峡に決定した。
山梨県甲府市には仕事で何度か来ていたが、やはり仕事とプライベートでは心の余裕も全然違う。
ストレスはゼロに近い。
異常気象の影響で、12月に入っても山梨はさほど寒くはなかった。
去年の12月に茨城県の御岩神社に行ったときは刺すような寒さで、寒さを通り越して指先は痛いほどだった。
神社は12月に来るところではないと痛感したが、今年は今頃紅葉になっているほどの異常さだ。
甲府駅前からバスに乗り、ほんとに30分ほどで昇仙峡の入り口にあたる「長潭橋(ながとろばし)」というところに到着した。
ホームページで見るとここから片道約6km、およそ1時間30分のコースである。
舗装路が渓谷に沿ってずっと続いている。
この渓谷、川が恐ろしいほどにきれいだった。
奥多摩渓谷も確かにきれいだが、昇仙峡の透明さにはかなわない気がする。
この舗装路は最後まで川に沿って続いていた。
つまりずっと川を見ながら、川のせせらぎを聞きながら歩いて行けるのだ。
これは大量のマイナスイオンの中、脳内ではアルファ波が出まくってる状態だろう。
もう少し細かく言うなら、川に沿って立つのが森林の山ではなく絶壁の岩山というのもかなり迫力がある。
もしかしたらあの岩の中に大量の水晶の原石が埋まっているのだろうか。
するとここはまさにパワースポットではないか。
季節的に人が少なかったのかもしれないが、あちこちの店が閉鎖されていた。
「(昇仙峡は)さびれた観光地」だという人もいるが、これだけきれいな渓谷と遊歩道があるなら昇仙峡はもっと世間から評価される一大観光地になってもいいのではないかと思う。
途中、大きな滝が現れた。
「仙娥滝(せんがたき)」
落差30mだそうだ。
その滝つぼに虹がかかる。
途中、お土産屋がいくつかあった。
場所柄、水晶を中心とした石屋(?)のような、ジュエリーショップのような店が多かった。
せっかくだから水晶でも買っていこうかとも思ったが、意外に高い。
小さなものでも2,000円~3,000円はする。
大きなものだと数百万のものもあった。
車が買えてしまう。
ある店では
「地方からわざわざ昇仙峡まで(水晶を)買いに来る人もいるんですよ。お客さん、どこから来たの?」
「東京からです」
「じゃあ(この数百万の)検討してくださいよ」
なんで東京から来たら数百万の水晶を買わなければならないのか意味不明だったが、結局何も買わずに店を出た。
そこからはもうゴールは近かった。
ゴールと言っていいのかわからないが、一応の終点らしきところが「クリスタルファウンテン」。
そのランドマーク的噴水がある。
噴水の上には巨大な水晶が乗っかっている。
当然本物の水晶だろう。
この水晶を経由して流れてくる水、いったいどんだけのパワーを持っているのか。
寒かったから触りはしなかったが、そんじょそこらの噴水とはわけが違うのは歴然だ。
さらに隣にロープウェイがあったのでそれでさらに上まで行ってみた。
このロープウェイは標高差600mを一気に登り、標高1,058mの山頂まで行くらしい。
そして山頂もパワースポットである、というふれこみだ。
標高600mを足で登ろうと思ったらそれはかなりつらいものになるだろう。
それを5分くらいで登ってしまうのだ。
5分で登ってしまうのはもったいない気もしたが、現実は一度に40人以上詰め込んでしまうのでただの満員電車状態になってしまい、景色も何もあったものじゃなかった。
山頂駅に降り立つと、そこに「和合権現」という小さな神社(?)がある。これがパワースポットらしいがここでは社の中にご神木らしきものが祀ってある。
そのが富士山に正対しているという。
その木が向いてる方を振り向くと、正面には確かに巨大な富士山があった。
ここは山梨県だから当たり前かもしれないが、それは普段通勤時に電車の中から遠くから見えている富士山ではなく、眼前に迫った富士山だった。
「あの富士山に登ったんだよな。頂上まで行ったんだよな・・・」
2022年に突然思い立って、富士山の頂上まで行ったのだ。
登山嫌いの自分がなぜ富士山に登れたのか、そして頂上まで行けたのか、今更ながら不思議である。
過酷な状況下で、おそらくアドレナリンが脳内から大量放出され、興奮状態にあったのだろう。
しかし目の前にそびえる巨大な山は、確かにみているだけでもパワーに満ちているようだった。
また富士山には行きたいとは思うが、あの過酷な地獄をもう一度体験できるかと聞かれれば答えに窮する。
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