前回のマウントレーニアホールでのライブの際、妻に「もうこれで終わりにしてよね」という暴言をよそに、おれはこの日の品川キリスト教会グローリア・チャベルライブをeチケット先行販売でとっくにゲットしていた。
日程は金曜日だったので残業を理由にすればバレることは絶対ない。
さらに教会という場所の特殊性から、スタンディングでタオルやペンライトを振り回すような展開にはならないだろうとのヨミがあった。
当日、定時で会社を振り切り会場へ向かった。
場所は分かりづらかったが何とかたどり着き、自分の席に座った。
教会だから椅子は木製のベンチシートである。
これは趣はあるものの、2時間のライブだと固くて背中が痛くなる。
周りを見渡すと、相変わらず客の年齢層が高い。
多分今でも芸能界に生き残っている70年代フォークシンガー、あるいは80年代前半のミュージシャンのコンサートはおそらくみんなこんな感じなんだろう。
しかし森恵は「今」の人だ。もっと20代30代のファンが多くてもよさそうだが、これだけファンの年齢層が高いというのもかなり異例のことだと思う。
もし自分が毎日のようにギターを弾いてた学生時代に森恵を聴いてたら絶対ハマっていたと思う。
今の若い奴らは森恵を知らないのか。
知らないだけならまだしも、知っているけど興味が無い、あるいは別に何とも思わないのか。
「セカオワの方がいいわ」「ゴールデンボンバーの方が面白いし」なんて考えてるとしたらこれは日本の若者にとって、そして日本のミュージックシーンにおいて危機的状況である。
築地で食べる寿司よりも100円均一の回転寿司の方がウマいと言ってるようなものである。
いつもは定刻ぴったりに始めるくせにこの日は10分ほどジラした。
今回はバックが4人編成だ。
オープニングは「それだけでいいんだ」から始まった。
名曲だが、なぜギターを持たずにハンドマイクだけで歌うのだ。
続けて何曲か同じようにギターを持たずに歌った。
歌唱力は相変わらずスゴい。
ミュージックステーションに誰かこの人を超える歌唱力を持つミュージシャンが一人でも出ているだろうか。
まさに驚異的である。
ただ、ギターを持って歌ってほしかった。
今回はバラード中心ということもあり、みんな最後までおとなしく聴いていた。
「メグちゃ~ん」だの「モグちゃ~ん」だの気持ち悪い声援もなく、もちろんペンライトもタオル振り回しもなかった。
まあそれはそれでいいんだが、今回のフラストレーションは別のところにあった。
そう、私は森恵の弾き語りを聴きたいのであって、ピアノもバイオリンもウッドベースもチェロもいらない。
ギター1本で勝負している森恵を見たかったのだ。
だからもう路上ライブ以外はいいかな、とも思ってしまった。
ライブを見るチャンスは減るだろうが仕方ない。
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