男尊女卑

エッセイ

「あなたは基本的に男尊女卑ですよね」
突然会社で前に座っている女がおれに言った。
おれは我が耳を疑った。
「男尊女卑?誰が?」こいつは何を言い出すんだ。勘違いもはなはだしい。
私ほど女性を尊重する男性は珍しいんじゃないかとさえ思う。
そうか、こいつは「男尊女卑」の意味をよく分ってないんだろう・・・。

そもそも「亭主関白」というポリシー自体がおれは大キライだ(さだまさしの【関白宣言】はいい歌だったが)。
家に帰ったら食事が出てき風呂が沸いていて洗濯物もちゃんと洗ってあっても「おれは毎日家族を養うために働いているんだ、当然だろ」というバカ亭主、世の中に多いんだろうと思う。
最悪なのは「子供の教育は母親の仕事」とか言って、学校で何かモンダイがあると「お前の教育が悪い」と妻を責める奴。頭がおかしいんじゃないかと思う。

「誰のおかげで飯が食えると思っているんだ」はお決まりのセリフだがサイテー最悪の言葉だ。
じゃあそいつは誰のおかげで何の心配も無く毎日会社にいけると思っているんだ。
奥さんは家政婦ではない。
「おれが養ってやっている」とかいうやつは定年後に妻と子供に見放されて熟年離婚で放り出されればいいのだ。

高度成長期、世の中のおとーさんたちは身を粉にして会社のために日夜働いたのだろう。それが今の日本の礎となったことは間違いない。それには敬意を表する。
しかしその多くのおとーさんたちの中で、家に帰ったらエラソーに「飯!」「フロ!」とかエバるやつには即座に敬意を撤回する。
「誰のためにいい暮らしが出来てると思ってんだ!」とか言って家族を恫喝するバカオヤジは熟年離婚で自分のバカさ加減を思い知ればいいのだ。お前が丸投げした育児から家庭のあらゆることを、妻は年中無休で何十年もこなしてきたのだ。
「家庭も顧みず会社に尽くした」のは、自慢することではなく恥ずべきことだ。家庭を顧みないやつのどこが偉いというのだ。

おれは男女平等などというつもりはない。
男と女は違うのだから平等になんかなりえないが、フェアではあるべきだと思う。
「男は外へ出て仕事をしてお金を稼ぎ、女はダンナのいない間、家庭を守る」というのは、チームワークとしてやるなら全然問題ないと思う。しかしこれを当然と思う男がいたらそれは時代錯誤もはなはだしい。
社会に出たら男のほうが優秀なんていうのは幻想で、うちの会社には誰も敵わないような女性の営業マン(と言わせてもらう)が出入りしているし、男よりもはるかに仕事の出来る女はたくさんいる。能力と気持ちがあるなら女性はどんどん社会に出て、それこそ平等の給料をもらうべきだと思う。しかし中には専業主婦をやりたい人もいるだろう。その人たちの家庭がそれでうまくいくならそうすればいい。働きたいのに専業主婦っていうのはフェアではない。
もうひとつ言えば、共働きなら家事は徹底的に分担すべきだ。妻だけが仕事と家事両立というのはまさにアンフェアだ。稼ぐ金額の問題じゃない。そういう家庭に限って妻の給料が自分の給料上回ったりするとダンナは卑屈になったりするんだろう。しょうがないじゃないか、奥さんのほうがお前より仕事できるんだから。

だいたい「主人」って言い方が良くない。じゃあ妻は「家来」か。ダンナも妻も、お互いパートナーであるべきで、どちらがえらいとかいう問題ではない。

ここまで男女差について理解を示しているのに我が家では一昨日から家庭内絶交状態になっている。
妻は口もきかず、ついにおれの食事も作らなくなってしまった。
一方的に怒っている妻に対し、
「なぜ怒っているのだ」
と穏やかに聞くと、
「あなたはいつも勝手に決めちゃうでしょ !私に何の相談もなく決めちゃうでしょ!いつもそうよ!」

ああ、こいつもおれのことを何も分ってない!ああめんどくさい!!

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