海辺のカフカ-村上春樹

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村上春樹の「1Q84」がすごいベストセラーになっているという。
発売一週間で100万部近くが売れたそうだ。10年以上前に出した「ノルウェーの森」は上下巻で430万部。活字離れが進む世の中でこれだけ売れるのはなぜだろう。世界一熱しやすく冷めやすい日本人のことだから当然「ただ流行に乗ってみただけ」という輩も多いはずだ。しかしそれを差し引いてもこの売れ部数はすごい。 今までは「ベストセラーらしい」、というだけでおれは村上春樹に一切興味を持っていなかった。どーせみんなオシャレの一部として呼んだフリをしているだけだろう、そんなふうにひねくれてものを見ていたのだ。しかしこの「1Q84」はさすがにちょっと気になる。上下巻でも、片方だけで1800円もする。単行本だから持ち歩くには重いしかさばる。いくら「流行」といってもこの不景気の時代にこんな手間のかかるファッションはないだろう。じゃあやっぱり相当面白いのだろうか。

おれは本屋でパラパラと数ページめくってみたが、それだけではその本の実力はさっぱり分らない。やっぱり入門編として「ノルウェーの森」あたりから読むのが正しい村上春樹の読み方なのだろうか。
そこで文庫の「ノルウェーの森」をランダムにページをめくってみたが、やはりどうにも分らない。
おれはさんざん迷った挙句、『海辺のカフカ』の上巻を買ってみた。これで半分読んでつまらなければ二度と村上春樹には近づくまい。いや、村上春樹だけではない、世の中のベストセラー作家の本は絶対読むまい、とひそかに決意した。
早速帰りの電車の中で読み始めたが、最初のあたりはどうにも退屈だった。やっぱり失敗だったかなと読み進めるうちに大体半分くらいまで来た。さらに三分の二あたりまで来たとき、完全にハマってしまった自分に気がついた。確かエヴァンゲリオンも最初の3話目くらいまではひどく退屈だったがその後一気にはまったのだった。 読むのが遅いおれでも上巻は3日くらいで読んでしまい、当然すぐに下巻を買いに行った。そして今、その半分ほどになったが、これは面白い。ちょっと話が現実離れしているが、それは映画やテレビと一緒、小説の世界の中だから何が起こってもどんなにありえなくても面白ければそれでいいのだ。
おそらくこれを読み終わったら、次は間違いなく「ノルウェーの森」を読むだろう。

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