謎の宗教団体

スピリチュアル

「誠○公〇会」というものがある。
これも新興宗教らしい。Yahoo知恵袋で見ると「倖せの生き方を学ぶ所」だそうだ。
おれが大学を卒業するちょっと前だったと思うが、突然高校のときの部活の後輩の女から連絡があった。4年ぶりだろうか。とにかくおれを連れて行きたいところがある、と言うような話だったと思うが、おれも暇だったので出かけていった。会場の光景は覚えているが、その場所がどこだったか・・・横浜のほうだった気もするし大和市の辺りだったような気もするし、うーん思い出せない。話しはそれるが「記憶」というものは本当に不思議だ。この時、おれは22歳だったはずだが記憶はぼやけており、それでいて15歳の時の高校入学説明会のときの記憶は鮮明に覚えている。
まあそれはいい。

会場には多分100名以上の人がいたのではないか。前方におじさん二人が座っている。事前情報が全くゼロだったので、そもそもおれは何をしにここに来て、これから何が始まろうとしているのか全く分からなかった。しばらくして何かが始まった。というか、前にいるおじさんが集まった人が事前に提出したと思われる質問用紙を読み上げ、それに答える、というものだった。
なんだ?人生相談か?
その相談内容などもちろん覚えてないが、漠然とした記憶では、家庭内不和だの進学のことだのといった本当に日常茶飯事の相談事ばかりだったと思う。しかしその答え方にちょっと興味を引かれた。おっさんが質問を読み上げると、
「え・・・・っと・・・右、左、右・・・あ、やっぱり右ですね。出かけるときに絶対お母さんとケンカしちゃいけません」
などという感じで答えていた。
何をやっているんだろう・・・。
その質問会が終わると、今度は何グループ化に分かれて個別相談会のような、あるいは単なる歓談のようなものが始まった。おれのグループにはおれを誘った後輩とさらに4、5名いただろうか。
グループの進行役は目つきのきつい若い兄ちゃんだったが、この日はおれの勧誘が任務だったのか、話しはもっぱらおれに集中した。

不思議なもので、ちょうどこの頃のおれは世間のブームをはるかに前倒しして「ジョセフ・マーフィー」を知っていた。宇宙には「これをしたらこうなる」という黄金ルールがあるというものだ。根拠は無いがそれは真実だと思った。「思考は実現する」というフレーズも大好きで、人間の持つ潜在意識とか仏教で言う「阿頼耶識」(あらやしき=深層意識において、全ての人はつながっているという考えだったかな)とか関連書物を読み漁り、自分で体験すべく瞑想セミナーや座禅合宿にも参加していた。

その集会のグループディスカッションのとき、おれはその目つきの悪い兄ちゃんに
「さっきの質問コーナーでは、どうやって答えを判断していたのか」
と聞くと
「この宇宙にはそういう法則があるのだ」
というようなことを言っていた。おお、それはまさしくおれの求めていたものじゃないか。
そして次の集会への参加を強力に要請されたがテキトーにお茶を濁してこの場を立ち去った。なぜ次の集会に行かなかったのか、たぶんその目つきの悪い兄ちゃんが嫌いだったからだろう。他に行かなかった理由を思い出せないということは、多分そんなとこなんだろう。

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