酒飲みの論理 その3

エッセイ

うっかり飲み会に行ってしまった。
おれとしたことがうかつだった。

その日、おれの計画では7時に会社を出て錦糸町に行き、ぐるなびで見つけたラーメン屋でタンメンを食べ、錦糸町のシネコンで「エヴァンゲリオン新劇場版・Q」のレイトショーを観に行き、10:30に終わるので速攻で帰って12時。すぐ風呂に入り12時半から先週TUTAYAで借りた『猿の惑星 創世記』のDVDを観て2時半には寝る、とかなり緻密な計画があった。
しかし急に飲み会に参加することになってしまった。
映画は来週でもいいのだが、DVDは明日には返さなければならないのでなるべく早く帰りたかった。

飲み会に行ったメンバーのうち二人が相当飲むことを知っていたので、おれは前日、たまたま通りでもらったチラシの店に予約をしておいた。ところが何かの手違いで、予約がちゃんと取れてないことが当日発覚した。

するとのんべえ二人は別の店を適当に探しながらさっさとお好み焼屋へ入っていった。
「前にも何度か来たことあるんですよ」
そんなことどーでもいいが、もっと安いとこいくらでもあんじゃないの、別にお好み焼食べたかったわけじゃないし。
案の定、ビール(中)が500円もした。だったらここに来るまでに「ビール250円!」だの「ハイボール半額!」だの、そういう店がいくつもあったのに。

こういうことを言うと、必ず次の決まり文句を言うヤツが多い。

「ケチッ!」

なんと屈辱的な言葉だ。まるで人間の器を評価されてしまったようなセリフじゃないか。
逆に不思議なのが、なぜ酒飲みたちはそういうことに、往々にして無頓着なやつが多いんだろう。
500円のビールが半額なら、同じ金額で2倍飲めるから酒飲みたちにとってもその方がいいんじゃないの?
予算が同じ5000円なら、2回飲みに行けるかもしれないじゃん。
そういう考え方ってむしろ普通なんじゃないのか。
なんで「ケチ」になるのか理由が分からない。

時計が11時に近付くにつれおれはだんだん帰りの時間が気になりだした。
こいつら一体いつまでいるつもりだ。
11時になった。
「さあ、帰るぜ」
「ええー」
「もう少し大丈夫でしょ」

まったく・・・
それでもおれたちは店を出た。
しかし20メートルくらい歩いたところで
「ああ、あそこ1杯350円ですよ、あそこ行きましょう、30分だけ!」
「そう、30分だけ行きましょうよう」

そのままずるずるおれは連れて行かれてしまった。今日はどうしたんだろう。
もちろん30分で終わるわけもなく、おれは結局最終ぎりぎりで帰るはめになった。

帰ったのは夜中の1時半。
それでもおれはそこから『猿の惑星 創世記』を観はじめた。
猿の惑星 創世記は数年前、ティム・バートン監督によってリメイクされたがこれが全くの不作だった。しかし今回の『~創世記』のほうはまあまあかも知れない。
なぜ猿たちが突然驚異の身体能力を持ったのかなどツッコミどころはたくさんあるが、作品としては悪くない。ただ残念なのは、もとの作品『猿の惑星 征服』ではシーザーが「人間にはもう地球を支配する権利はない。これからは人間に代わって我々猿が地球を支配するのだ」と名言をはくが、新作では無難にまとめてしまった。

酒飲みの論理 その1

酒飲みの論理 その2・・・忘年会

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