森 恵の渋谷は大人ライブだった

森 恵

「ゆうちゃん(子供の名前)、明日パパね、土曜日なのに夜出かけるんだって」
妻がイヤミたっぷりに子供をだしにしながら言った。
「ひどいねぇ、自分だけ遊びに行って」
そして
「今度で最後にしてよ」
「なんでだよ。そんなにしょっちゅう行ってるわけでもないし」
「当たり前でしょ!子供の世話を押し付けて」
押し付けてって、子供は少年野球に朝から夕方まで行っていて、夜8時半には寝ちゃうから
ほんの2、3時間の話じゃないか。
「とにかくもうやめてよね」
全くの暴言だ、パワハラだ、言葉のDVだ。
おれがどれだけのストレスを背負って毎日働いてると思ってるんだ。
しかし妻の反論はいつも決まっている。
「あたしだって働いてるの!」
そう、確かに働いてる。週3日、午前中だけ整骨院でパートをやっている。
妻はこのパートを始めてから一層強気に出るようになった。
「あたしはパートだけじゃなく、帰ってきてから掃除洗濯買い出し、子供の食事で休みなんかないの!」

そんな暴言を浴びながら、おれは渋谷に向かった。再び森恵ライブだ。
今度は渋谷のマウントレーニアホール。
初めて聞く名前だったが前回のブログで「このホールは座席が映画館のようなので、じっくり聞きたい人にはお勧め」との情報が寄せられたのでチャレンジしたのだった。まあこれが期待外れだったら妻に言われるまでもなく、ホールでのライブはもういいだろうと思っていたのだ。

それにしても「マウントレーニアホール」。聞いたことが無い。
WEBで調べると座席数は1F、2F併せても200席ちょっとしかない。横浜もSHIBUYA-AXも500席くらいだったからすぐに売り切れちゃうんじゃないか。おれは焦ってすぐにeチケットの先行予約をした。
かなり早い段階で予約したのでおれは勝手に「(1Fの)3列目か4列目あたりかな。最前列だったらどうしよう」などと想像していたが、当選の連絡とともに記されていた座席は2F席だった。
おかしいじゃないか!
コンサートに行き慣れてる妹に聞くと、「eチケットの先行予約は、応募した日と座席の位置は全く関係ない。前方の席が取れるかどうかは運次第で、最前列なんて奇跡のレベルだ」と言っていた。

さて当日、開演15分前に着いたが、ここでもドリンク代として500円とられた。そしてその500円はなんと、コンビニで150円くらいで売ってるカフェラテに化けた。

ホールの2Fへ上がると、なるほど映画館のようなシートだ。
自分の席に座ってみると、確かに前の席と段差がかなりあり、ステージもよく見える。このまま前の人が立たなければね。いや、仮に立ったとしてもこれだけ段差があるなら自分も立てば視界が遮られることは無いのかもしれない。

さてステージが始まった。
普通ライブというのは時間通り始めないのが業界の常識だろう。たいてい10分や15分はじらしてから始まる。しかしこの人はいつも時間通りに始めてくれる。

おお、よく見える見える!
横浜では完全に視界が遮られ、声だけ聞いているというサイテーなライブだったし、前回のSHIBUYA-AXでは前の人たちの隙間20cmからまるで覗きのような形で見ていたが、今度はよく見える。

1Fの状況はよく分からないが、とりあえず「メグちゃーん!」「メグメグぅー!」などの不気味な声援も聞こえなかったし、ペンライトを振る奴もタオルを振り回している奴もいないようだった。
2F席は最後まで誰も立ち上がることもなく、みんな行儀よく見ていたので、私も初めて落ち着いて最後まで見ていることができた。

セットリスト的には半分はあまり好みの曲ではなかったが、それでも満足度は高かった。やっぱり横浜の時のような、会場の中にいるのに声しか聞こえないというのはあってはならない。そしてこの人のライブのパターンも読めてきた。
最初にしっとりバラード系を集めて1時間経過あたりでハイテンポの曲に移っていく。

森恵はアンコールの時、思いもよらないことを言った。
「10月に品川の教会でライブ決定しました。今日来た人には今日の9時から先行予約できます」
教会?ということはそんなに騒げる会場ではないな。今日みたいな、いや、今日以上に落ち着いた雰囲気になるんじゃないだろうか。
おれはスマホで曜日を確認すると、金曜日。残業したということにすれば鬼嫁にバレずに行けるじゃないか!

その夜、当然おれは先行予約をした。今度は最前列だろうか・・・。

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