「退職願」を書いてみた

社畜日記

小泉元首相が政界を引退表明をした。
同じく中山国交相が、こちらは辞任に追い込まれた。
レベルは随分違うがおれも先週金曜日、「退職届」を書いた。
まだ出してはいないので、今はおれのデスクの引き出しの中に隠してある。
いつ出すかはまだ思案中だが、実は今の会社で退職届を出すのはこれで3回目となる。
その都度引き留められ、ずるずると今日まで来てしまったのだ。
思い起こせばいつの間にか先輩社員は全員辞め、後輩も一体何回入れ替わったかももはや分からない。

思えば18年前、新聞記者を目指して今の会社に入社した。
正確に言えば別に新聞記者になりたかったわけではなく、ただ単に「書く仕事」がしたかったのだ。
その当時、世間知らずのおれの頭の中では「書く仕事=出版社」という図式があった。
業界事情を何も知らない素人が勘違いしやすいところだ。
出版社は「編集プロダクション」というライター集団の会社から記事を集めてまさに「編集」するだけで、実際にものを書いているのはこの編集プロダクションの人間らしい。
「プロダクション」とか言うと聞こえはいいが、要するに出版社の下請けにすぎない。

実際今の会社に入る前に、渋谷にある編集プロダクションに面接に行ったが、じとっと暗くて狭いオフィスの中でライターと思しき人が数人、暗く不健康そうな顔で仕事をしており、机の上にはドリンク剤の空き瓶が転がっていた。奥の社長室にはいかにもワンマン、わがまま、傲慢、自分勝手、パワハラとネガティブな単語を連想させるような社長がいた。

ワンマン社長はいかにも傲慢そうに電話で誰かと話していた。

「ええ?そーですよ、まあ一杯やりにいきましょう、がはははは」

電話を切ってからおもむろにおれの履歴書に目をやり、

「ふーん、で、何で今の会社辞めたいの?」

おれは目下の状況と自分の気持ちを話した。

「ウチはねぇ、部分部分を受けるそこいらの編プロと違ってねぇ、まるまる一冊全部受けるんだよね」

と得意げに言った。確かこの会社は自動車関係の会報誌や旅行雑誌を手がけていたように記憶している。

「ところで君は徹夜は出来る?この世界、徹夜は当たり前だからね」
「無理ですね。やめときます」
おれは即答し、さっさとその会社を出てきた。徹夜が当たり前の会社なんて絶対無理。

振り出しに戻った転職活動の中で、ふと今の会社の求人広告を見た。
「新聞記者募集。未経験者歓迎」
実はこの広告、何度も見ていた。毎週のように求人広告を出していたのだ。
ずっと敬遠してきたのは週休2日でないという、今思えば情けない理由だった。
ただ、当時は世の中の企業がどんどん週休2日制を導入してきており、「どうせ転職するならより良い条件で」などと未経験者のくせしてなめたことを考えていたのだ。
ここは週休2日かどうかじゃなくて、毎週求人広告を出していることのほうが問題ありと考えるべきだった。しかも「未経験者歓迎」だ。
これは離職率が激しいことを意味する。

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