夜とか家の中とか曇り空とかで全編にわたりどんよりした雰囲気で2時間以上もある作品。
予告編を見て迷ったがとりあえず見ることにした。
後で知ったのだが監督はクリント・イーストウッド、そして製作総指揮はなんとあのスピルバーグだというではないか。
そういわれれば確かに冒頭の津波のシーンはスゴかった。
全体の雰囲気からそこだけは場違いのようにスペクタル感だった。
ストーリーは手術の後遺症で霊媒師体質になってしまった主人公(マッド・デイモン)を中心に3人の心のうつろいで展開していく。主人公は意識を集中して相手の手に触れるとその人の無くなった家族や周辺のことが見えてきたり死者からのメッセージを受け取ったりもできる。
兄は「それは才能だ」と言って霊視ビジネスに利用しようとするが、本人は「才能なんかじゃない、呪いだ」と苦悩し、霊視はもう一切やりたくないと思っている。
さらに登場人物としては津波で死にかけた女性ジャーナリストが、自身の臨死体験で垣間見た世界「人は死んだらどうなるのか」の追及を始める。
また双子の兄を亡くした少年はどうしてももう一度兄と話をしたいと願う。特にこの少年のほうは何とも見ていて切ない。
2時間の長丁場を見終わった後は、別に悲しい終わり方ではないもののスカッとするわけでもなく、なんとなくメンタルの疲労感が残った。しかし改めてよーく思い出していくと、この3人の心の葛藤は非常にうまく表現されていて、それは各シーンでほとんどBGMがかぶせられてなかったりするのも最初は寂しいと思っていたがかえって良かったのだろう。そしてマット・デイモンとジャーナリスト役の女優、子役の演技力が尋常ではない優れものだった。
監督のクリント・イーストウッドと言えば『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』などのマカロニウエスタンで一躍スターダムにのし上がった俳優で、カーボーイハットにポンチョがトレードマークでとてつもなくカッコよかった。最近の若い人たちはそんなことも知らないんだろうな。もしかしたら『ダーティー・ハリー』シリーズすら知らないかもしれない。
『荒野の用心棒』と『ヒア アフター』ではあまりにもジャンルもテイストも違いすぎる。
スピルバーグが製作総指揮ならもう少し明るい内容にしても良さそうだが、そういえば2001年だったかピノキオの現代版『A.I』も絶望的にどんよりと重々しい映画だった。
『ヒア アフター』は決して娯楽作品とは言えないかもしれないが、スピリチュアル好きな人にはウケるかもしれない。
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