「パワースポットで厄除け」とは我ながらなかなかいいアイデアだと思ったが、よくよく考えると三大厄除け大師と言われる佐野厄除け大師、川崎大師、成田山新勝寺も、どこだって「うちはパワースポット!」と言うだろう。
そしてどこもそうだが商業主義はぬぐえない。
だったらせめて雰囲気だけでも厳(おごそ)かさが欲しいところだ。
ネットで検索し、最終候補に残ったのがまず青梅の御岳山の山頂、929mにあるという「武蔵御嶽神社」。
青梅も御岳山も知ってはいたが一度も行ったことが無かった。
アクセスを見ると、ケーブルカーで山頂近くまで行けるらしい。
ケーブルカーで山頂まで行けるって高尾山みたいだな。
しかし立川から電車で40分、駅からバス、そしてケーブルカーに乗って、ケーブル降りたらそこから25分歩くという。
そこはやはり「山」だから「登山」の要素があるのだろう。
青梅市だからこれでも一応東京都だ。
しかしイメージとしてはずいぶん遠く感じる。
新宿からだと上手く乗り継いでも2時間以上かかる。
しかも登山前提だ。これはなかなかひるむ。
次の候補はパワースポットとしても有名な秩父の標高1,100mにある「三峰神社」。
しかし遠さで言ったらここもなかなか手ごわい。
西武秩父駅からバスで1時間15分。
池袋から西武秩父までは特急でうまく行けば1時間30分くらいらしいが駅からバスで1時間以上というのがその行きづらさを物語っている。
このバスで、もし座れなかったら1時間15分立ってろと言うことだろうか。
そしてここもバスを降りたら登山らしい。
1,100mもあるのだから当然そうなるだろう。
武蔵御嶽神社も三峰神社も、「来るならそれなりの根性見せろよ」と言ってるようだ。
そして最後の選択肢として出てきたのが「日光東照宮」だ。
小学校の修学旅行で一度だけ行ったが、当然何も覚えていない。
御岳山や秩父に比べ、ちょっとメジャーすぎる気もしたが、パワースポットとしては申し分ない。
何しろ東京に結界を張ってるぐらいだ。
ネットで見てもそのスゴさが伝わってくる。
場所的にも東武スカイツリーラインの東武日光駅なのが東武線沿線に住んでるおれにとってはなかなか好都合だったし、行くにあたってはとりあえず根性とかはいらなそうだ。
さらに方位を見ると、どうやらおれの場合は「北」がいいらしい。
地図で北を見ると、まさに日光が真北にあった。
よし、日光へ行こう!
こういう所へはわりと朝早く行ったほうが気持ちがいいに決まってる。
おれはいつも会社へ行くのと変わらない時間に起き、出発した。
東武日光駅へは同じ沿線ということもあり、体感的にはあっという間だった。
駅からは頻繁にバスが出ている。
歩いても3kmくらいらしい。
まず「神橋」からスタートすべき、と「突然ですが占ってもいいですか」の水上レオンが言っていたので、おれもここからスタートした。
この橋に入るだけで300円取られるのはちょっと納得いかなかったがまあ今日は良しとしよう。
下を流れる川の水が驚くほどきれいだった。
そして日光国立公園に入っていく。
この中に東照宮を含めいくつかの神社がある。
「厄除け」というのは実際ここに限らず、都内のどこの神社でもやってるようで、何だったら近所の神社でさえ受け付けている。
「厄除けと言えば佐野厄除け大師」と思い浮かぶのは広告宣伝により刷り込まれているのだ。
まさしくマーケティングの力である。
あちこちで厄除け自体はやってはいるものの、その方法が流派によって違うようだ。
初めて佐野厄除け大師で厄除けをやった時はいわゆる「護摩焚き」という迫力のあるパフォーマンスの中でやったので、「厄除け=護摩焚き」だと思っていたがそうでもないらしい。
日光国立公園の中にあるいくつかの神社ではどこでも厄除け祈祷は受け付けていた。
最初に見た神社では「護摩~」と書かれていた。
そういえば東照宮で護摩焚きなんてどこにも書いてなかったな。
どうせなら厳かで迫力がある方がいいんだけどな・・・。
ちょっと迷ったが、ここで初心を変更すると後悔するような気がしてそのまま東照宮へ向かった。
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